1990年代後半には、ISO(国際標準化機構)での国際規格化の動きがありましたが、 ILO(国際労働機構)の反対もあり、この時は、結局規格化は見送られました。
ちょうどこの時期に当方も安全衛生を担当していたこともあり、その動向は注視していまし たが、国内においては厚生労働省(ILO)と経済産業省(ISO)間で規格化対するスタンス が異なり、ちょっとした省庁間の争い?になっていた感じでした。
実務的には、1999年には、「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」が告示 され、労働安全衛生法の中にもOSHMSの考え方は織り込まれました(当方も労働安全 衛生マネジメントシステムに関するリーダー研修を受講しました)
その後の日本での取り組みは、印象としては、OSHMSの主要要素であるリスクアセス メントに活動の焦点がシフトしていった感じで、規格化の動きは止まっていたと思ってい ましたが、規格化に向けいよいよ動き始めたようです。
規格の動きの背景には、2013年6月にILOとISOとの間で新たな合意が結ばれたこと もあるようです。 ISOにおける規格是非投票には、前回同様日本は、政労使で”反対票”を投じたようです が、ISOでは”賛成”が多数を占め、ISOがOSHMSに関する国際規格開発を行うことが 決定されたとのこと。
今後日本においては、日本規格協会が事務局となり、国際規格化作業に関与していくよう ですが、品質・環境に続く国際規格として企業が積極的に取得に動くような規格になるかど うか注目です。
個人的には、日本の場合には、安全衛生は現場で労使一体になって進めている部分が大 きく、”外部の規格でこれを準備しなさい”と言われてもピンとこない感じがします。
また、ISOの場合、どうしても要因系の管理が中心になるかと思いますが、その認証取得 により、結果系データがきちんとついてくるか? なかなか難しい面があるような気がします。
いずれにしても労働安全衛生に関しては大きなニュースだと思います。
今後ともその開発動向については、引き続きウォッチしていきたいと思います。

