技能は確かにあるのですが、なかなか評価しづらい技能というものがありますね! | ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

大手自動車会社での30年の人事総務経験を経て,2014年にIC・行政書士として独立しました。グローバル化進展の中、業務のアウトソーシング化など荒波にさらされつつある人事総務部ですが、企業活動を支える総務系業務の重要性・専門性など日頃思うところを語ります

昔であれば、一本法律をつくって、それに関連する資格制度、認定団体をつくる
といったことも比較的出来たこともあったと思いますが、昨今の規制緩和の流れ
の中では、新たな公的資格制度をつくる(≒監督官庁の利権をある意味ではつ
くることになる)ことは、夢物語です。

その結果、活用されているのが、国家技能検定の職種拡大です。

国家技能検定と言えば、現場系・ガテン系職種の技能レベルを認定するイメー
ジが強いですが、実はホワイトカラー的職種も技能検定の職種に入っています。

例えば技能検定128職種中、指定試験機関が実施する14職種の中には
 ・キャリアコンサルティング(2008年開始)
 ・ファイナンシャル・プランニング(2002年開始)
 ・知的財産管理(2008年開始)

あたりは、何となく技能検定のイメージとは違う印象を受けるのではないでしょ
うか?

これらの技能検定職種ですが、従来であれば資格制度として認定する可能性
もあったかと思いますが、時代の流れから資格化は出来ずに国家技能検定と
して近年対象職種に加えられた一面もあるかと思います。

例えば、2級キャリアコンサルティング技能検定を見ると、1次試験は学科(民
間関連資格保有者は免除)、2次試験は論述&実技試験です。
実技試験の内容は、相談ケースに基づき試験官の前で20分間のロープレを
行う試験です。

面談スキルの評価は、なかなか難しいとは思いますが、傾聴スキル、専門知
識の活用状況、進め方などを総合的に採点するようです。

また、意外にも対象に入っていない職種もあります。
例えば、自動車製造の車両組立職種などです。

自動車工場を見学に行かれた経験のある方は、イメージ湧くかと思いますが、
自動車工場でのメイン作業(一番配員の多い職種)は、工場内に長く伸びる組
立ラインでの部品組み付け作業です。

おそらく、この職種は「正確なトルクでインパクトレンチを使い、ボルトを時間内
に締め付ける」などの個別技能が問われるのではなく(もちろんそれも基礎技
能の一つだとは思いますが)、ある程度の範囲のライン管理のような技能
(ex.ラインの異常を感じて、最適な対策を取る)が実際に現場で要求される技
能なんだと思います。

欠品が発生した場合のリカバリー(後付にするか、ラインから外すか)、欠員が
出た場合のライン班編成、部品供給のタイミング(フォークとの連携)など複合
的な技能?が要請されるのが組立職種だと思われます。

こうした職種は、時間内で課題を完成させるような検定試験には馴染まず、主
要職種でありながら国家技能検定の対象になっていないのではないでしょうか?

考えてみるとホワイトカラーの”技能”も同様な側面があるように思えます。

こうした職種に技能がないのかといえば、そういうわけではなく、日本の製造
業が得意とする擦り合わせ技術的、集団的な高度な管理スキルが要求されて
います。

なかなか目に見える形になっていないと技能と認められにくいですが、こうした
技能も積極的に評価して、目に見える形にしていくことが必要だと思います。

厚生労働省が進める職種別職業能力評価基準が、この部分をカバーするイメ
ージなのかもしれませんが、管理の要素が入ってくると同じ職種でも各社毎に
やり方が異なり、なかなか職種横断的な能力評価基準(会社間をまたがって
実際に使える基準)を作成することは難しいようです。

先日サラリーマンの技能について書きましたが、事務・技術職種の職人レ
ベルを表すような技能評価が出来れば、一つの免許的な役割を果たすことに
なり、中高年サラリーマンのキャリアチェンジの際にも貴重なツールとして利用
できそうな気がします。

禅の不立文字ではありませんが、”文字に表現できない技能こそ本当の技能”
という側面は多分にあるかと思いますが、可能な限り、サラリーマン技能につ
いても、その要素を出来る限り明確にしておく努力は続ける必要があると思い
ます。
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