「フリーエージェント社会の到来」(ダニエル・ピンク著)を読んで | ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

ものづくり企業の人事総務をワンストップで専門サポートするインディペンデント・コントラクター(IC独立業務請負人)が日頃思うこと

大手自動車会社での30年の人事総務経験を経て,2014年にIC・行政書士として独立しました。グローバル化進展の中、業務のアウトソーシング化など荒波にさらされつつある人事総務部ですが、企業活動を支える総務系業務の重要性・専門性など日頃思うところを語ります

最近、経済雑誌で「働き方」に関する特集を見かけることが多くなり
ました。

現在、発売中の『週刊ダイヤモンド(5/11号)』では、「”仕事消失
時代”に生き残るビジネスマン」という特集が組まれていますし、岩
波の『世界』(5月号)でも、「人間らしい働き方が消えていく~待った
なしの改革とは~」という特集が組まれていました。

特集の特徴としては、昨年までの若年者雇用の問題、非正規雇用
の問題というより、中高年男性ミドルに対する雇用の厳しさを取り上
げる記事が目立ちます。

背景としては、
 ①2013年4月施行「高齢者雇用安定法」65歳までの雇用義務化
 ②昨年末に朝日新聞の特集で報道された「追い出し部屋」
 ③産業競争力会議で論議されている”解雇規制の緩和”
などの雇用を巡る大きな環境の変化(のきざし)を受けての特集だと
思われます。

当方もまさに該当世代なのですが、今後65歳、70歳(場合によって
はそれ以降)の働き方については、従来の延長線上は対応できない
ことを痛切に感じています。

そうした日本の中高年サラリーマンにとって、一つの働き方の道標
となりうるのではないか?と思うのが、ダイエル・ピンク著の『フリー
エージェント社会の到来』です。

この本は、今から10年前の2002年に出版されていますが、著者
の推計で全米で3300万人(アメリアの労働人口の4人に1人に相
当)が、フリーエージェントとして「雇われない生き方」で働いている
事実が示されています。

アメリカに遅れること10年以上、日本でも昨今の雇用に関する論議
の盛り上がりを受け、この「雇われない行き方」は、中高年サラリー
マンにとっては、個々人が自分の身を守るためにもぜひとも真剣に方
策の一つとして検討すべき働き方の一つなのではないか?と思いま
す。

企業側の論理としては、
・労働コストの固定費化に対する嫌悪感
・派遣、有期労働雇用に対する保護方向性への法改正による使いに
 くさ感

サラリーマンサイドとしては(個人的な感想です)
・東日本大震災を経験して家族・地域への関与をより深めた働き方
 への憧れ
・中高年サラリーマンを巡る雇用環境の厳しさ(打開の方向性見いだ
 せない閉塞感)

などもあり、「フリーエージェント」的な働き方を中高年サラリーマンの
選択肢の一つとして捉えてその方向への準備を進めていくことも自
己防衛としては必要だと当方感じました。

当方もそうですが、

”今まで働いてきた企業での継続勤務すら厳しいのに、より独
立性・専門性が要求される「フリーエージント」なんて無理無理”


と思いがちですが、今まで長年培ってきた経験・ノウハウ・人間関係
力などをきちんと整理し商品化することにより、いわゆる労働者とは異
なるフリーエージェントのメリットを企業側に提案することも可能なので
はないでしょうか。

この”フリーエージェント”的な働き方に関しては、日本においても「イン
ディペンデントコントラクター(IC)協会」というNPOが設立されており、
活発に活動を行っています。

5月11号の週刊ダイヤモンド特集記事の中でも『「ミドル世代の受け
皿になるか 雇われない働き方「IC」とは』というタイトルで取り上げ
られています。

その中で、実際にICの先駆けてとして活躍されている秋山 進氏
(プリンシプル・コンサルティング・グループ代表)は、
「そこまでハードルは高くない。過去に培った人脈(就職先、顧
客)を利用して、”最初のクライアントになってください”と顧客を
獲得し続ければ、その道のスーパーマンでなくても成功できる」

とコメントされています。

客観的に自分の培ったスキル・経験・専門性を棚卸し、売り物
として商品化していくしたたかな戦略
がこれからミドルサラリーマ
ン受難の時期には、必要だと思います。
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