クリミアは当時からロシアだった...

 

 

先日偶然とても美しい

画集を見ましたので

そのお話をちょっと

させて頂きこうと思います

 

19世紀のロシアの画家

海や、荒波の中を行く

帆船を描いた美しい絵画で

史上最高の海洋画家の1人

として知られる

 

イヴァン・アイヴァゾフスキー

(1817-1900)の画集です。

 

アイヴァゾフスキーは

クリミア半島の南東部

黒海沿岸の都市フェオドシア

出身のアルメニア人で、

 

少年時代より絵が上手で

ペテルブルクの

帝室美術学校に進みます

 

その天才ぶりには

2年でアカデミーから

もう教えることはない

と言われてしまった程

 

ロシアだけではなく

欧州各地でも成功しますが

生涯を愛する故郷

クリミアのフェオドシアで

送ることを好みます

 

その絵は19世紀の画家らしく

とても精密で、美しく

ファンタジーにあふれていて

迫力同時に大人の静謐さをも

感じさせます。

 

 

何より様々な色の透明な空

雲、海、波のうねり、それに

翻弄される帆船が素晴らしい!

 

 

こちらに分かり易く

説明して下さっているサイトが

ありましたので

載せてさせて頂きますね

<(_ _)>

 

 

 

 

そういえばクリミアですが

アイヴァゾフスキーの存在一つ

とってみても歴史的に

どこに属するのかが

良くわかるようです...

 

「1849年の黒海艦隊レヴュー」

 アイヴァゾフスキー、1861年

 

先日のペテルブルクでの

海軍の祝日を思わせる

帆船たちですね?

 

でも、私が今回はっと胸を

突かれたのは、実は

波の絵ではないのです

 

この絵をみたときでした

 

「ハリストス救世主寺院と

 クレムリンのパノラマ」

 1851年

 

サイトでみつけた写真なので

ちょっと暗く映って

しまっていますが

 

実際はもっと明るく、

ハリストス救世主寺院の

金色の玉ねぎドームが

とても明るく美しい

落ち着いた大作です

 

画の左側には、樹々の後ろに

白い石造りの

ハリストス救世主大寺院が

そびえ立っています。

 

寺院の近くの広場には

小さくてここでは良く

みえませんが

大勢の人が集まっています。

 

遠景中央にはモスクワ川と

ボリショイ・カーメンニゥイ・モスト

(big stone bridge)

橋の後ろの背景にはクレムリン、

その後ろには大クレムリン宮殿、

クレムリン大聖堂のシルエット、

イワン雷帝の鐘楼も見えます。

 

つまり、今ある大寺院と

クレムリンの270年前の

姿が描かれているのです。

 

これは感動的でした!

 

特にハリストス救世主大寺院

本当にこのような

姿だったのですね!

 

私の留学中には

温水プールだった場所です

 

バスで傍を通ったとき

妙な煙が上がっている

場所をみて、

 

「ここに昔巨大なロシア正教の

寺院が在ったらしいよ。

でもスターリンが爆破して

しまったんだってね」

 

「爆破!?スターリンて

 何でなんでそんなことを...

 ふ~ん、そうなんだ...」

 

という感じでした

 

前にも書きましたが

冬にも何だか怪しげな

煙、湯気が上っていた

わけのわからない

モスクワに不似合いな

妙な場所だったのです。

 

なんでこんなところに

温水プールが!

という感じでした

 

それが1999年12月

エリツィン政権から

プーチン氏が大統領代行に

なられた時に、昔通り

復興がなったのでした。

 

今アイヴァゾフスキーが

描いた通りの姿で蘇り

モスクワで威容を誇っています

 

建設当時の姿を

絵画の中でみたとき

まるでそのまままなので

感動してしまいました

 

本当にこうだったのね!

と写真より、当時の画家に

絵で残された作品をみると

何だか胸に迫りました

 

それが後に破壊され、

プールになり

そして今、昔通りに美しく

再生された...

 

 

 

これだけではなく

ロシアでは嘗ての美しい建造物が

その形を変えずに、更に美しく

修復再生されています

 

ソ連崩壊後1992年7月16日、

「モスクワ再創造基金」設立法に

エリツィン大統領が署名。

その基金に挙げられた

リストの筆頭にあったのが

この救世主ハリストス大寺院の

再建でした

 

1995年基石が据えられ

大聖堂全体の成聖式は

2000年8月19日

(主の顕栄祭)でした。

 

2002年復活祭で同寺院を訪れ

十字を切るプーチン大統領

 

宗教活動が禁止されたソ連時代、

崩壊期の大混乱を超え、

新たなロシアとして

進んでいく上には

人々に心の支えが必要

 

かつてロシアの民衆が

深く篤く信仰していた

ロシア正教を復活させた

プーチン大統領

 

その時、新生ロシアを率いる

責任と覚悟を新たにされて

いたではないでしょうか?

 

 

下に上げさせて頂いたのは

1999年エリツィン大統領より

大統領代行の指名を受けた

プーチン大統領、

最初の演説です。

 

字幕をつけて下さった方

有難うございました<(_ _)>

 

 

尚「~だ。」「~しよう。」

という訳に日本語だと

なってしまいますが

 

ロシア語の形で言えば

勿論ここでもプーチン大統領は

「~しましょう。」「~です。」

と丁寧な言葉遣いで

話されています。

 

初々しく優しいお声ですね?

但し、

三か月後の大統領選が

行われるまで、一秒たりとも

権力の空白は作られない。

 

ロシアの憲法を脅かすような

企ては断固として阻止される。

 

基本的権利は決定的に

国家により守られ、

全国民も責任をもって

守られる。

 

というところでは

声に力がこもります。

 

また短いスピーチながら

 

民主主義と改革の道を

歩み出したロシアが

その道を曲げず、且つ

独立した強国で

いることができた、

ここにこそエリツィン大統領の

大きな貢献がある、と

きちんと評価されています

 

そして最後は大統領は

今でもそうですが、

ロシア人らしい

温かな、心の籠った、

家族や個人への祝福で

静かに締め括られます。

 

知性と力を同時に感じさせる

落ち着いたスピーチでした。

 

でも例のごとく、ちょっと

哀しそうにみえる

プーチンさんですね?

 

そんなことを思わせられた

このアイヴァゾーフスキーの

美しい豪華な絵画集は

生誕200周年記念として

国立トレチャコフ美術館から

出版されています。

 

値段は3000ルーブル

今は1ルーブル=2.14円

なので約6000円程でしょうか?

 

厚みと内容の豪華さから

言っても、大変安いと思います

日本だったら絶対

2万円はするでしょう!

 

 

 

ロシアの方って

ソ連時代から本が大好きなので、

昔から日本に比べると

図書の値段がとても安価です

羨ましいですね?

 

 

台風の一日でしたが

今日は、クリミア生まれの

ロシアの画家、アルメニア人の

イヴァン・アイヴァゾフスキーの

絵画集から自分なりに

感じたことを書いてみました...

 

 

(静かなる海、アイヴァゾーフスキー)

 

 

 

ここまでお読み下さり

どうも有難うございました。