先日「慕情」を聴いていて

そういえば、

第二次世界大戦時代を

扱った映画には

名作や名曲が多いなぁ

と思っていたのですが

 

その中から

今日はイタリアとソ連が

共作したあの名作

「ひまわり」

 

それをソ連時代の

市民の目線から

みてみたいと思います

 

 

なんて何だか偉そうに

書いていますが

 

留学後「ひまわり」を

観た時、ああ、ここは、

そういうつもりだったのか!

 

でも、これは、西側には

伝わっていたかなぁ?

と思ったシーンが

いくつかあったのです

 

ストーリィは有名なので

簡単に書きますが

 

愛し合う若いナポリの夫婦

ロシア戦線に送られた夫は

過酷な雪の中で倒れ

生死不明に

 

でも妻は決して諦めず

長年帰りを待ち続け

遂には、ソ連まで探しに行きます

 

しかしやっと出会えた夫は

記憶を失っていたときに

現地で献身的に介抱してくれた

ロシア女性と結婚していました

 

そんな彼の姿に泣きながら

電車に飛び乗る妻

 

元妻と再会した夫も

忘れられぬ日々を過ごし

遂には、戻らぬ決心をして

イタリアへ行きます

 

しかし、既に元妻には

新しい家族ができていました

 

再び、昔と同じ駅で

万感の思いとともに

別れざるを得ない二人

 

ヘンリーマンシーニの

胸を打つ音楽と

ウクライナの平原を埋めつくす

ひまわりの花

 

その下にはソ連、イタリア各国の

亡くなった兵士が

埋葬されているという

 

悲しみの情景が広がります

 

 

 

 

さらっとみると

二人の妻の間にゆれる

マストロヤンニ演じる夫が

西側(今や無くなった言い方ですが)

視線でみると

どうにも優柔不断に思えて

 

また新しい住居に移って

夫の気持ちを繋ぎとめようと

するなんて、と、ロシア妻も

ちょっと嫌に思えて

しまったりするのですが

 

(美しきリュドミーラ・サヴェーリエワさん)

 

ソ連の観客の方がみたら

逆に、遂には出国までして

(出来だ!)

なんと、イタリアまで

行くことに「成功した」彼と

 

逢おうともせず!

追い返すような元妻が

なんと薄情なことか!

思われたに違いないと

想像されます

 

イタリア側が理解していたか

とうか、わからないのですが

 

この映画をモスクワ留学後に

みたとき、

私には、ロシア側の思い

 

いかに夫は元妻を

愛していて

どんなに戻りたいと思ったか!

またロシアの妻の深い愛

 

夫が戻らぬことも覚悟で

それでも、こんなに

思っているという

シーンの連続に

驚いてしまいました

 

と言いますのは

当時のソ連の一般市民にとって

あり得ない幸運、いや

許されない事だった

3つの行動を、夫が次々と

とっていくからです

 

それは、

 

1.外国に行く(出る)

2.グム百貨店で毛皮を買う

3.新しい住居を得られた!

  (にも拘わらず喜べない!)

 

これらはソ連市民にとって

あり得ないミラクル三連発!ドンッ

これをみたら

「そんなにまで、帰りたいのか!」

と当時のソ連市民ならば、

誰もが、深く納得するシーンです

 

 

得に、1の出国は、

もう戻るつもりはない、という

夫の決意すら暗に示しています

(ロシア側からしますと)

 

ここで、それを許す妻

新しいアパ^トを得た妻が

そんなあり得ない幸運にも

(ソ連時代住宅を得ることは

 至難の業でした)

喜ばない夫の姿に

 

元妻への深い思いを知って

外国に行かせるというのは

これもまた深い愛に他ならないと

 

善良なソ連市民はなんとも

言えない気持ちで

涙したと思います

 

でもこうしたソ連国内の

事情を知らないと

そこまでの夫の決意

そこまでの思いだとは

映画からはみえないのでは

ないでしょうか?

 

また新しいアパートを得る

(買うではなくて得る!)

ことのあり得なさ

 

夫がモスクワ屈指の

国営百貨店グムで買う

西側の目には「小さな毛皮」も

東側では決して小さくはない

 

ソ連市民からすると

そうしたあり得ない幸運を

捨ててまで戻った

夫の決意に対して

 

えっ!あなたは

会いもしない?!

(あり得ない!)

(彼は命がけなのだ!)

と思えてしまうでしょう

そした東西の相違が

感じられてしまい

 

ロシア側がこめた思いが

伝わっていたか、というと

もしかしてそれには

ちょっと無理もあったかな

とも思われたりします

 

だって西側からすると

新しいいアパートを得たり

外国に行ったり、

グム百貨店で毛皮を買う

などということは、

(当時のソ連市民にとっては)

 

夢のまた夢、超ミラクル3連発

の出来事だったとは

西側ではなかなか

想像がつかないのでは

ないでしょうか?

 

そのような東側だった

ソ連の事情も、なんとも

また哀しいのでした

 

「ひまわり」の映画は

嘗てのソ連の市民生活をも

思い出させる映画でも

ありました

 

またソフィア・ローレン

マルチェロ・マストロヤンニという

イタリア二大スターに対して

 

ソ連側は、清純派の大人気女優

可憐なリュドミーラ・サヴェーリエワを

投入してきています

 

素朴ながら、清純で可憐な

リュドミーラさんの飾り気のない

ロシア的風情が

クレオパトラにように個性的で

堂々としたソフィアローレンさんと

素晴ら好対照をなしていました

 

また、優柔不断男を演じさせたら

世界一?のマルチェロさんも

実は、私生活では

ファシズムに立ち向かった

イタリアのレジスタンスに

参加した社会派でもあります

 

三人の名優の美しく

感動的な演技が

悲しみを更に深めた

名作でした

 

そういえば

マストロヤンニが毛皮を買った

ソ連屈指のデパート

グム百貨店勤務だった

ゾーヤさんから

 

戦後のモスクワの

大きな駅では、あたかも

「ひまわり」のような

胸を張り裂かんばかりの

悲しい別れが、現実に

あちこちで繰り返されていたと

伺ったことがありました

 

過酷なロシア戦線で

イタリア軍が体験した

悲惨な状況は、参加した

多くの兵士たちを

深い怒りに導き

 

それがファシズムに対する

断固たる自国内の

レジスタンスへと

繋げる一大要因にも

なったと言われています

 

 

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イタリアはロシアと

ヨーローパのどの国より

歴史的にも文化的にも

過去から現在まで

深い縁と理解で結ばれて

いるのかもしれないですね?

 

 

ここまで読んで頂き

有難うございました!

 

10月の最後の週末

楽しくお過ごしくださいねもみじ