アーティストは黙っているべきか?
 

英国の生んだ名ブルース&ロックギタリストで

作曲家、ヴォーカリストのエリック・クラプトンは

同僚のヴァン。モリソンとともに、2020年12月、

英国のコロナウイルス対策を含み政策への

プロテストソングを発表した

 

害はないと言われ、自らも試してみて、

重い副作用に苦しんだワクチン接種についても

「苦しさに、もう二度と演奏できないのではないかと思った。

針に近づくべきではなかった。」との感想を漏らしている。

 

またロックダウンがライヴ・ミュージックを危機に至らしめ、

ミュージシャンたちを苦しめていることに対しても

温厚な彼にしては珍しく

静かな怒りと苦言を呈したことで賛否両論をかもしている。

 

彼が歌って演奏している、ヴァン・モリソンの曲は

「スタンド・アンド・デリヴァー」Stand &Deliverと

反抗者たち(Rebels)という曲も録音したという

 

 

 

 

Stand and deliver

You let them put the fear on you

Stand and deliver

But not a word you heard was true

 

But if there's nothing you can say

There may be nothing you can do

 

黙っているしかないなら

何も変わりはしないだろう

 

76才になった英国ロック界の重鎮、

いや日本でも世界でも愛され尊敬される音楽家となった

クラプトンだが、率直な気持ちをこう語っている。

 

”私は生涯、専制的な者や、傲慢さには抵抗してきたが

 今私達はそれらに直面している

 私が求めているのは、友情や、共感や愛で

 その気持ちをもって、皆にこの曲を届けたい”

 

英国のEU離脱以来、政府の政策には

疑惑を感じてきたというエリック

EU諸国を股にかけ、

コンサートツアーを行ってきた彼にとって

これは見過ごすころのできない

大きな変化なのだろう。

 

エリック・クラプトンは、いつでも

自分に正直だった

他の人なら隠してしまうような

過去の辛い経験も、

いつでも逃げずに、曝け出し、

それを認めて、みつめてきた

 

ステージでは立っているだけで

余りにもカッコよいエリックだが、

オフでは自分を飾ることはない

 

複雑な少年時代の家庭環境も、

親友の妻に恋をしてしまった若気の至りも

長く苦しいアルコール依存症も、

 

苦しみをとことんまで味わっている姿を

ファンの前でも隠さずみせてきた

 

まるで石ころだらけの山坂を、

傷だらけの裸足で、ふらふらしながら

すこしずつ越えて行くような

 

そんな彼の後ろ姿を、

私達は遠くから見守りながら,

黙ってついてきた

 

そういえば1973年、4年間の隠遁生活中に、

彼が珍しく姿を現したことがあった。

今思うと不思議なのだが、

それは英国のEU加盟を祝うコンサート

"ファンファーレ・フォー・ヨーロッパ"の一環として

当時のパートナー、アリス・オームズビー・ゴア嬢の

父、ハーレック卿に頼まれたステージ

”レインボー・コンサート”だった。

 

その英国が過去を忘れたかのように

今、EUを離脱した

 

あの時、自信をまるで無くしたかのように

歌もギターも弱々しかったエリックが、

今やシニアながら、若々しく

ブルージーな歌声で

反逆のスピリットを歌う

 

とうとう本物のブルースマン

になってしまいましたね!

 

エリック・クラプトンという人は、

自分を誤魔化すようなことはしない

時には残酷なまでに真実を語り、

言葉でも、音楽でも、

思いを顔に出し、音に出す

そんな彼が

「もう黙ってはいられない」

と思うのであれば、

必ず訳があるはずだ

 

「マグナ・カルタ、や権利章典、

憲法って、一体何のためにあるんだ?!」

 

何故ってブルースは

いつでも彼の心の叫びだったから

 

「満腹でブルースは弾けないよ」

かつてエリックはそう語ったことがあった