今の会社は入社以来まるで出世の見込みはないものの
幸か不幸か例年仕事が忙しく、
所謂“夏休み”というモノとは無縁の夏が続いていた。
しかし今年は仕事の状況が落ち着いている。
そこでこの8月は週末に繋げるようにして断続的に休みを取ることにした。
毎週4日働いて3日休むといった具合だ。
当初は宮城県にある沢山の猫が住むという楽園のような島にでも
泊まりで出掛けてみようかと計画を立てたりもしたのだが、
宿泊旅行だと予算が格段に跳ね上がってしまい、
貧しい家計には少々厳しい出費だったので
結局は低所得に見合った慎ましいdaytripで済ませることにした。
今年の上半期は引越しなんかもあって
事前にコース日程を企画して挑む本格的な街歩きは随分と久しぶりのことだった。
まず私が向かったのは北関東にある父方の実家だった。
ちょうどお盆の時期にあたり、
父が死んで親戚や御先祖とも私と直接的な関係になったので
付き合い方もきちんとしておきたいという思いもあって、
まずは父方の墓参りに行って報告の真似事みたいなことでもしようと思い至ったのだ。
私鉄のローカル線を乗り継いで辺鄙な駅まで行き、
さらにそこから何もない農村の田舎道をてくてくと数キロ歩く。
ここを訪れるのは約1年ぶりだったが
今回はあまり迷わず目的地の寺まで辿り着くことが出来た。
関東北部は南よりもさらに暑く、
小一時間ほどですぐに首回りに痛みを感じ始めた。
強烈な陽差しで火傷のような過度の日焼けをしていたのだ。
熱中症の可能性は頻繁に報道されていたので
結構気にして小まめに水分を飲んだりしていたのだが、
この症状は全くの想定外だった。
さらにお腹の調子も悪くなり、
田舎でよく陥る“トイレ探し”をする羽目になった。
都会では大型スーパーやデパートやオフィスビルや行政施設といった
通りすがりの人が入りやすい場所を探して難を乗り切るのだが、
田舎に行けば行くほどそういう場所が少なくなってしまうので
街歩き当日の朝食は基本的に食べないか、
或いは少食で済ますところなのだが、
久しぶりのことでその日はそういうのを
すっかり忘れてしまい少々食べ過ぎていたのだ。
それから少ししてなんとか青年会館みたいなところを見つけて
難を乗り切ることが出来た。
あとは帰りにの電車の時間までしばらく農村風景を満喫してから
あまり遅くならないうちに家路に着いた。
翌日も朝が早かったのだ。
翌朝は4時頃に目を覚ますと昨日の反省から朝食は食べずに家を出て
早朝のがらがらの電車に乗った。
この日は千葉県の最東端の街“銚子”を目指していた。
しかし千葉駅で電車の乗り換えが上手くいかず予定外で有料の特急電車に乗り、
予定の30分遅れで銚子駅に到着した。
そしてそこからさらに銚子の沿海部に沿うように歩いて、
最終目的地は濡れ煎でお馴染みのローカル線銚子電鉄の終着点“外川駅”だった。
そしてその辺りで港町ならではの海鮮料理でも食べて
帰りは銚子電鉄に乗って銚子駅まで戻るつもりでいたのだ。
早速まずは銚子駅から真っ直ぐ北に向かう道を歩くとすぐに海に突き当たり、
そこからは時計回りで6時の位置を目指した。
道中で目にした限りの感想だがあまり活気のある漁港というイメージはなかった。
東京の人混みに馴れてるせいかもしれないが人自体あまり見かけなかったし、
廃墟になってしまった店や倉庫のような場所も散見した。
海岸も観光客というよりかは近所の家族が水遊びをしている程度で
期待していたハイレグの水着ギャルは皆無に近かった。
一番賑わっていたのは犬吠埼の灯台周辺で
その辺りは食堂の類いが沢山あったのでここで食事を済ませてしまおうかと
再三悩んだがやはりゴールしてから自分へのご褒美として食べようという気持ちが強く、
そのまま歩き続けることにした。
それから少ししてゴール地点の外川駅に到着した。
しかしそこは港から少し離れた住宅地のど真ん中にあり、
周囲に日用品を買うような店は点在していたのだが、
食事が出来るような店がほとんどなく、
ようやく見つけた洋食屋もたまたま休業日だったりと
食事にありつけない最悪の事態になった。
その日もぎらぎらと灼熱の快晴だったので
“とりあえず水分だけでも”と個人経営のスーパーに入り、
ポカリスウェットを買おうとしたが、
細かいお金がなく1万円札を出すと
「いやぁちょっと勘弁してもらえます?」と拒否されてしまった。
自動販売機も当然使えない。
予定の電車の時刻までは小一時間ある。
私は最果ての地のnomadになってしまった。
他に食べるところがないかと港の方まで戻って探索を続けると
地元の漁師の人が食べに来るような個人経営の定食屋を見つけて、
ようやくそこで食事にありつくことが出来た。
観光客相手の店ではなかったのでカレーとかラーメンとか
至って普通のメニューで私は焼きそばを食べた。
結局そこの会計で1万円札を出したのだが
家族総出でお釣りを用意させてしまう事態になってしまった。
そして街全体が1万円未満で完結している深刻なデフレに陥っていたのだと
まざまざと実感した。
それから帰りの電車に乗って銚子駅まで戻り、成田線で成田に向かった。
そして成田駅で降りて成田山に行った。
和風と中華風の入り交じった風変わりな寺社だった。
そこで寺社巡りの際は恒例にしている
金運(ないときは総合運)のお守りを買って帰った。
【蛇足】
ずっと駄作だと思っていたオーズだが最終回は結構良かった。
響鬼以来久々に美女率が高かったのも良かった。