老朽化改修に最大6億円
青森市の青森港に係留保存されている青函連絡船「八甲田丸」が、日本機械学会から歴史的に意義のある「機械遺産」として認定された。昨年の東北新幹線全線開業から観覧者数は順調に増え、JR青森駅周辺のにぎわいにも一役買っている。一方、老朽化した船体の改修には5、6億円かかるとされ、所有している市は観光資源としての効果的な活用法を検討している。
「36年前に乗船しました。当時が懐かしい」「動いているときに乗ってみたかった」。メモリアルシップとして船内を公開している八甲田丸の海図台にあるノートには、全国から来た観覧者が思い出や見学した感想を自由に書き込んでいる。
このノートは、休日にブリッジでボランティアのガイドを行う平川市の葛西鎌司さん(67)が、昨年12月に新幹線が全線開業したのをきっかけに置いた。八甲田丸の機関長として最後の航行にも搭乗しており、「船の大きさは?」といった観覧者の質問にてきぱきと答える。「目を輝かせて見学する子供の姿を見るとうれしくなる。元乗組員にとってこの船は心のよりどころなんです」と語る。
市の指定管理者として八甲田丸を運営するNPO「あおもりみなとクラブ」によると、昨年12月~今年6月の観覧者数は2万5312人で前年より1万5062人増加し、新幹線効果がくっきり。市は青森駅を中心とした街づくりの拠点の一つとして位置付ける。
日本機械学会は25日、八甲田丸と函館市に係留されている「摩周丸」、船に貨車を積むための可動橋を合わせて機械遺産に認定。1908年から青函トンネルが開通した88年までの80年間、本州と北海道を結ぶ物流の大動脈としての役割を担った青函連絡船が、機械技術の面でも評価された。
一方、90年から八甲田丸の展示が始まって21年経過し、船体の老朽化が顕著になってきた。市は新幹線開業に合わせて昨年、約1億5000万円かけてさびが目立つ外観を全面的に塗り直し、雨漏りするブリッジを修繕するなどした。
しかし、函館市の造船会社に見積もりを依頼したところ、本格的な改修には5、6億円かかることが判明。市は6月、「市ウオーターフロント活性化検討委員会」を発足させ、八甲田丸の今後のあり方について検討を始めた。委員会では来年3月までに、改修のコストや今後の展示の仕方について結論を出す方針。市交通政策課の八戸認課長は「今後20年間展示を続けるにはそれだけの費用がかかる。市民の意見を聞いて構想をまとめたい」と話している。
出典:読売新聞