皆さま、おはようございます。ご訪問ありがとうございます。さて、年金について、続けたいと思います。本日は、年金制度への未加入者について述べてみます。
年金未加入者につき、私が記憶にあるのは例えば、「年金の未納率は4割」といわれ、「そんなに払っていない人がいるなら自分も払わなくてもよいのでは?」と一時期でしたがマスコミで騒がれたことを覚えています。恐らく、民主党政権の時ではなかったかと記憶です。
それなりに古い時代のことにて申し訳ないのですが、私自身としては上記の数字が頭に残っています。例えば、NHKクローズアップ現代では、『厚生労働省によると、2013年度、国民年金の保険料の納付率は60.9%(すなわち約4割が未納)』とあります。また、日経2015年2月20日の記事では、『国民年金4割が未納、制度の将来に不安も』とあります。
いまであれば、上記の4割未納というのは自営業者や農業者対象の国民年金(1階部分)のことと直ぐに判ります。対する2階部分の厚生年金は、これは企業に勤めている方は企業との折半にて100%の納付率のはず、したがい、全体数の平均ではもっと未納率は下がるはずと直ぐに思いつきます。ただ、当時の私は「えっ、4割もの人が年金払っていないの?」と思ったものでした。
下の図は年を追って雇用者(いわゆる2階部分の厚生年金に加入している方)、自営業者(1階部分の国民年金のみ)、また家族従業者の変化を示しています。これによると、昭和30年代前半における雇用者は約半分でしたが、直近の2022年度においてはもう9割の方が雇用者となっていますね。この9割の方は全員が国民年金料と厚生年金料の両方を支払っているはずです(会社と折半)。
すなわち、年金制度全体を見ると、「未納者も多い」とは一概にいえないのではと感じます。ここで、厚労省が作成している下の図を参照します。これによりますと、年金の未納者と未加入者は、全体のわずか1%となっており((89+9)÷6744=1.5%)、全体でみれば非常に小さい値となります。
未納者と未加入者は国民年金だけを対象としたグループに入っていると思いますので、(89+9)万人を1,405万人で割りますと、7%となります。すなわち、国民年金だけが対象となる方々の14人に一人くらいが未加入、あるいは未納者ということになりますね。
以前にいわれていた4割が未納者とは、かなり異なります。これは、(半分は想像ですが)以下の2点において数値の取り扱いが異なっているのではと思います。
1) まず、マスコミで騒がれた4割の中には保険料を正式な手続によって免除または猶予されている方を未納者として含めている(学生や所得が一定額以下の方は支払が免除あるいは猶予されます)。対する厚労省の数値では免除または猶予されている方は保険料納付のグループに分類されています。
2) また、国民年金保険料を遅れて支払う場合、納付期限から2年間は遡って支払うことができます。しかしながら、未納者4割としている中にはその時点、その時点で延滞している方を含めているのではと思います。対する厚労省の数値では2年後まで待って未納の方を未納者としている、ということではないかと思います。
上記の2)に関連してですが、途中経過を示す指標として令和3年度の当年度の国民年金の納付率は73.9%ですが、2年後まで待った場合の最終納付率は78%まで増えています。なお、それでも22%の方が未納者・未加入者となりますが、この比率の分子、すなわち未納者には「免除」や「猶予」が認められている人が含まれているためです。これを除けば、国民年金における未納者・未加入者は先に述べた7%、そして全体に対する比では1.5%ということですね。
いずれにしても年金の未加入者および未納者は一定数いますが、それは年金制度そのものに影響を与えるものではないといえるかと思います。また、国民年金については国からの税金が投入されています。国民年金の45%くらいは税からの補填だったと記憶しています。
ということは、支給される国民年金の原資は保険料と税金ですので、間接的には私たちが普段支払っている税金からも支給されていることになります。年金保険料が未納や未加入の方も、何らかの形で税金は支払っているかと思います。しかしながら、未加入や未納だと税金は支払っていても、その分年金として受給することができないということになります。
まじめに加入、また納付した方がよさげですね。では、本日もよい日でありますように!