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先の8月16日でしたか。米国民主党大統領候補のハリス氏が南部激戦州のひとつとされるノースカロライナ州での選挙演説で発表した経済政策につきやっと見てみました。中低所得者層の支援が柱になっており、選挙戦略としては正しいと感じますが、私個人としてはちょっと「バラマキ型」かなぁ、また、市場メカニズムへのリスクが多いのでは、という感じを受けました。

 

初めての住宅購入者向けの頭金支援2.5万ドルを単純に400万世帯に対して支給するなら、1000億ドル(約140兆円)に達します。この財源についてはなにも発言はされていないですね。また、インフレ抑制に向け、企業による便乗値上げを抑えるといった価格統制を含んでいるようにも思えるのですが、基本的に価格は自由競争のもとで決まります。

 

日本もですが米国も日用品や食料品を扱う業界の本業の儲けを表す営業利益率は非常に低いです。例えば米国籍大手のウォルマートの営業利益率は2022年度3.3%、2023年度4.2%程度です。アマゾンはAWSをもっていますのでこのセグメントは実に30%近い営業利益率を出していますが、でも、これを含めた全セグメントの2023年度の営業利益率は6.4%にすぎません(恐らくAWSがなければ赤字?)。

 

日本の食品・小売業を見ても儲けという側面からは厳しいですね。営業利益率は明治で2023年度7.6%、最大手の味の素は高くて2023年度10.2%はありますが、知り合いがいるフジッコの2023年度営業利益率はわずか3%ですね(プライム市場から落とされるかも)。なお、私の業界はインフラ関係にて、いわゆる政府系ファンドが資金元となります。このような業界の場合、お施主さんが厳しく査定しますので、我々としては営業利益率8~10%を目指すものの、実現はよほど条件がいい場合のみにて、通常は3~7%です。

 

ところで、米国・巨大テク企業の営業利益率はもう信じられないです。例えば、MS社は2023年度44.6%、アルファベット社(Googleの親会社)は2023年度27.4%、アップル社は2023年度29.8%、メタ社(旧Facebook)は2023年度34.7%です。アルファベット社の2023年度の売り上げは3074億$(約43兆円)ですが、税引き前で実に842億$(約12兆円)の利益があるわけです。なんか、Winner takes allの世界とはいえ、ほんとに信じられない利益率ですね。

 

話がちょっと横にそれましたが、いずれにせよ庶民がインフレを日常的に感じるのは日用品・食料品かと思います。しかしながら、上記のようにその業界は世界的にみて過当競争であり、一部では可能性はあるものの少なくともある程度の期間にわたって不当利益を得るような便乗値上げはないと思います(もちろん、個々人レベルではありうるでしょうが、企業体として、あるいは業界全体としてという意味です)。

 

財源につきましては、法人税率を現行の21%から28%への増を提示しているようですが、これは私も賛成です。ただ、それだけでは十分ではないと思います。ところで、財政補填先としてバイデン政権が一時期言及していた超富裕層への未実現利益課税の導入が懸念されますが、これは下院を抑えている共和党の大反対にあって法案が通らない、あるいは民主党も中道よりの議員は反対するかと思います(私もこれはちょっと悪手すぎるかと)。

 

私は少々冷たいかもしれませんが、少なくともばらまき型には反対の立場です。一部では、バラマキ型は『受動的社会』を生み出すからで、『能動的行動』を生み出す社会につながらないという議論もあるかと思います。私自身は、バラマキによって一時的に、例えばコロナ禍での一律10万円を配る特別定額給付金や、いま配布が始まった物価高騰対策支援給付金等もらったとしても、みなさんそれなりに戦略的だとは思っています。

 

すなわち、もらえるものはもらう、でも、いつも待ってばかりではない、ちゃんと必要な行動を起こすくらいは、特にまじめな日本人はやっていると思います。でも、一部では受動的社会につながっていくというのもありかもしれませんし、。。。。あるいは、何か問題が発生するたびに(マジョリティが選挙で選んでいるわけですが)政府(与党)のせいにしてしまうのかもしれませんね。

 

ということで、私自身は当然、米国の選挙権などもっていませんが、日本の政策も含めてちょっとだけですが思うところを述べました。では、本日もよい日でありますように!