板野×柏木





「のこりん、のこりん♪」


「…なんですか?」


「ただ呼んだだけー。」


撮影の合い間、何度もこのやり取りが繰り返される。


…今ので10回目くらいかな。


ともちんさんの中でマイブームなのか


いつもの彼女では考えられないくらい


ちょ~笑顔で仕掛けてくる。



うん。まぁ別にいいんですよ。


本人もとても楽しそうだし。



でも、なんでわたしにしかやって来ないんですかね?


たかみなさんとかさっしーとか…他にもたくさんいるのに。


もちろん嫌というわけではないけど。



「わたしってそんなにいじりやすいのかなぁ。」



撮影に戻るともちんさんの背中を見つめながらぼやいた。





長い撮影がようやく終わり、みんな楽屋に戻る。


自宅大好き女のわたしは、誰よりも早く帰り支度を済ませるため


いそいそと準備をする。



すると、背後から



「のこりん、のこりん♪」


例のごとくともちんさんがやってくる。


…またきたか(笑)



「はいはい、なんですか?」


「…。」



おや、返答がない。



気になって彼女の方を振り返ると


なぜか少しはにかんだ表情で口ごもっている。



「…。ともちんさん?」



「今度…2人で遊びに行こう?」


「…へっ?」


「それだけ!じゃあね。」



そう言うと、ともちんさんは自分の荷物のもとへ去っていった。



わたしは口をポカンと開けて、頭の中を整理する。



つまり、今までのやりとりは全部


あれを言うためのタイミングを狙ってた


…ってこと、かな。



なにそれ、めっちゃ可愛い。



わたしは吹き出しそうになるのをこらえながら


残りの支度を終えて楽屋を後にした。



帰ったらスケジュールの確認しなくちゃ、ね。