アメリカには「かかりつけのお医者さん」というのが存在します。ホーム・ドクター、
プライマリー・ドクター、プライマリー・フィジシャンなどと呼ばれています。
アメリカで医療を受ける場合は、よっぽどの救急(交通事故など)でない限り、まずは
このホーム・ドクターに相談します。それは習慣なのではなく、義務になっています。
いきなり専門医を受診することは不可能になっています。ホーム・ドクターが紹介して
くれて初めて、専門医に診察してもらえます。入院や手術が必要な場合には、
ホーム・ドクターが契約している病院に入院手続きを取ります。
つまり、アメリカの医療において、プライマリーを診ることができる医師は必須
なのです。ゼネラリストが必要な土壌が最初から整っているのです。
では、日本はどうでしょうか。ホームドクターが必要とされているのはコトー先生の
ような僻地くらいでしょう。
(柴崎コウや桜井幸子がいるような僻地なら、喜んで僻地勤務しますが)
少なくとも現在の日本ではホームドクターの必要性はありません。
現在の日本で必要なのは、あくまでスペシャリストです。
しかも、患者さんはいつでもスペシャリストにかかれることを
望んでいます。
あたかもスーパーローテすれば、ゼネラルに診ることができるような
錯覚に陥りますが、そんなに甘いものではないでしょう。
数ヶ月回っただけで診れる程、浅いものではないし、そんな浅い知識で
判断しても何とかなったのは、一昔前のパターナリズムが横行していた時代だけ
です。
今は、スペシャリストが正しい判断をしたとしても、結果が悪ければ
「あの時、別の判断をしていれば」などと「後出しじゃんけん」を
されてしまうのが落ちです。
これからの医療は自分の専門分野のみを診て、過剰なまでに検査をすることが
求められています。