私にも師匠と呼ぶ人がいる。私は音楽を志す者であるが

氏は明治生まれの画伯であった。生きていればもう120才位か。

私は氏を先生と呼んでいた。先生は明治、大正、昭和、平成と

90才を過ぎてもひたすら絵筆を振るう人であった。

 

先生は毎年ご自身の日本画を出品され日展の常連であった。

私も先生の作品を鑑賞しに美術館へ行ったものだ。

日展と言えば日本でも最高峰の展覧会である。

ただ先生、先生と言いながらその凄さがいまいち

分からなかったのである。日展しか見ていないから。

 

あるきっかけが有って二科展と言う展覧会で

絵を見る機会を得た。違うのである、素人から見ても

良し悪しは別として同じ日本画でもこんなに違うのか。

 

何が言いたいか。物事、一過性の経験ではその本当の

良さも分からないということ。同じ物事、異なる機会を持って

以前の体験の有難さを感じる事もある。

 

先生の作品に関する私の逸話は、普段の日常でも比較対象を

経験して初めて分かる事もあるとの分かりやすいたとえ話に

なっただろうか、、、