陽出国
それは、年が変わる前の話・・・
相も変わらず自分は君にくだらないメールばかり送っていた
そして、
やっぱり君からの返事は来なかった
もう、いつもの日常
かなりこんな生活も慣れっこになってしまった自分に
半ば諦めてもいた
クリスマス
やっぱり君からは何にも返事は来なかった
もうすぐ年が明けようかというとき
ひとつのメールが入った
君からだった
「陽いずる国に行っていました」
そう記されているだけだった
メールが来るだけでも飛び上るほど嬉しく驚いたというのに
「陽いずる国」とは・・・
気がついたら、メールではなく君に電話をかけていた
電話口で話す君は
これまた驚くほど明るく
「ひさしぶり~」
・・・今までの君からは想像もつかない位声だった
そう、君に出会って間もないころの
世の中がワントーン明るくなるような陽気な声
そうだった・・・君のくるくる楽しそうに話す表情に魅かれたんだった・・・
自分もどこか遠くにいて、今帰ってきたみたいな気分になった
やっと、帰ってきた・・・
「初めて海外に行ったんだ」
「そっか・・・そうだったね。どうだった?」
「すごくいい所だった。心の治療にも効果があったように思う」
(今までの君の言動は、心の病気が言わせたことなんだろうか・・・?)
「なんだ。そんなにいい所だったんだね。一緒に行きたかったよ」
「じゃ、来年一緒に行く?」
・・・一瞬、耳を疑った
本当に自分に向けて発せられた言葉なのだろうか?
心が寄り添ってた頃と同じくらい暖かく切ない言葉は
何度も見た夢のそれなのではないだろうか?
「・・・いいよ。いつでも行くよ」
声に少しだけ力を込めて言ってみた
夢なら、いつもここで醒めてしまう
喉の震えが体全体に広がるのがわかる
「じゃ、お金貯めなきゃね」
・・・あ、醒めない
これ、現実なんだ・・・
自分の心が認識するのが早いか否か
涙がポロポロ流れた
真暗闇の自分の心にも、ようやく、陽が昇った
朝の来ない夜などない
本当にそうだった
信じながらも、どこか、自分には当てはまらない言葉なんじゃないかって、
疑っていたいたことは否定しない
なぜなら、こんなに実感したのは、生まれてこのかた無かったからだ
このまま、君を、信じていいんだよね?
君と陽いずる国で
一緒に朝日を眺めることができるのかな?
同じ星
昨日、久しぶりに君からメールが来た
勢力の強い、台風15号のおかげなのだろうか・・・?
強風に飛ばされて、自分のところにメールが飛んできたように思う
まぁ・・・
どんな理由であれ、君からのメールは、ホントに嬉しい
少しでも長く話ができるよう努力はしてみたのだけれど
願いはそう長くは続かなかったね
けれど、ホントに嬉しかったんだ
ありがとう
どうやったら、昔のように、(メールだけれど)話が続くかな?
昔は、メールの時間が面倒くさくて、どちらともなく電話をかけた
声を聞くと、距離はあっという間に、埋まった
あれから1年、何が変わったんだろう・・・
今日は、とても星が綺麗だったんだ
小さく弱い光の星星ですら、キラキラと輝いていたんだよ
ここのところ、寒くなったせいかな、星がとても鮮明に見えるんだ
君のところは、もっと綺麗に見えるんだろうね
去年の今頃は、天気があまり良くなくて、星はよく見られなかったんだ
だから、次は見てやろうと、密かに意気込んでいたのにな・・・
星を見上げながら、君のことを考えていたんだ
他愛もないものかもしれないんだが
同じ星を君も見上げているのだろうかと・・・
たくさんある星座の中で
君は何に注目していたんだろうね?
あの星星は、何万光年もかけて自分たちに向って光を放ってくれる
自分の思いも、星たちと同じように
何万光年もかけて伝わっていくのだろうか
どのくらい時間がかかってもいい
君に自分の気持ちが伝わるのなら
いくら時間がかかってもいい
そう思っているんだ
なんて、効率が悪いんだろう・・・
そうやって、どんどん歳月を重ねていくんだろう
けれど、それを止めようとは思ってないんだ
同じ星
一緒にもし見上げていたら
君に気持は伝わるの・・・かな?
嵐の前に

こちらは嵐の前の静けさ
君のところは 嵐が吹き荒れているのだろうか・・・
君に毎日くだらないがメールを書きつづけているけど
君からの返事は あの日からパタッと無くなってしまったね・・・
君は、夢と現実との境目で悩んでいたけど
夢を捨てるなんて毛頭考えていなかった
むしろ 現実にいつ別れを告げようか、そのことばかり考えていたね
それは今でも変わっていないのだろうけど・・・
でも、現実は現実で 君を必要としていて
責任を持った立場を 君に提供したいとさえ切望していた
・・・もう蹴ることさえ出来ないところにいた
「てきとうにやるよ~」
の軽い言葉とは裏腹に
意外と真面目に考える君は 不本意と感じながらも真剣に取り組んだのではないかな
・・・あれから、もう10日になる
何かあったのではないかと
嵐の前の 静かだけど変に生暖かい強めの風に
不安を覚えずにはいられないんだ
何もなければいい
いつもどおりでいてくれればいい
台風のせいか、雲が不思議な模様を空に描いている
安定した空を眺めたい という自分の心に
暗く重い不安が 渦まいている・・・
