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今年の総括 2010

毎年恒例、今年の振り返り日記です!
本当なら31日に書くはずだったんだけど、今夜から1日まで大阪滞在のため。


2010年はとにかく沢山の人と出会った年でした。
今年の目標の一つに、今後私が活動していく中での地盤となる人脈(という言葉の是非は置いておいて)を作るというのがあったので、それがある程度達成されたのは良かったなと思います。
あと単純に、「レロの知り合いに会ったよ!」「レロの話で盛り上がったよ!」等と、誰かと誰かが出会ったり親しくなったりすることの一端を自分が担えたという話を聞くととても嬉しくなります。

そして、これだけ沢山の人に出会えたのは、twitterのおかげが非常に大きい。
「レロ」という人物の存在が広まったのもある程度はtwitterのおかげじゃないかなと思っています。
私の1910人のフォロワーさん及びリストで私を把捉してくださっている方に心から感謝です。
まだフォローしてない方、是非Follow me!
http://twitter.com/rero70

個人的な気付きとしては、「活動は個人単位でもできるんだな」というのがありました。
私は元々団体に入って集団の中で活動するというのがあまり好きではなく。
なんか心から目的・理念に賛同できる団体って今まで見たことないし、そういう団体に入って自分の時間や場所が縛られてしまうと、個人でいろんな場所に顔出したい時がある私としては非常につらい。
じゃあ自分で団体作ればいいのかって言ったら、やりたいことの規模等によってはそれが必要になる時もくるかもしれないけど、今はとりあえずその必要性を感じない。
でも、今年は個人的にセクシュアル・マイノリティ関連の市民講座の講師を任されたり、個人的に人と人をつなげるということをしたり、個人的に性現象論について人と話したりできたので、こういう活動の方向性もあるのかなあと考えたりしています。


では、簡単に月ごとの振り返りを。

1月
・早稲田塾でAO・推薦入試での合格者のためのプレ・カレッジ講座「大学生活のススメ」を受講。町田校所属のはずなのになぜか表参道校チームに参加。早稲田塾のPRをするというお題に沿ってプレゼンテーションを作り上げた。今までの人生の中で一番上手く”グループワーク”ができた時だったかもしれない。
・早稲田塾の保護者会に、合格した先輩という立ち位置で何度か出演。

2月
・AOで落ちたICUの一般入試を受ける。受かる。
・セクシュアル・マイノリティコミュニティに半ば復帰するも、昔感じていた違和感を相変わらず覚える。
・早稲田塾にDCCインターン/チェアパーソンとしてインターンシップ参加するため、説明会やオーディション等に奔走する(~3月)。

3月
・慶應文とICUを散々迷って慶應文に決める。
・卒業式でスピーチ
・早稲田塾卒業生の集い。今まで塾内で知り合った人で集いに来てた人にはほとんど話しかけたけど、そもそもいくつかの学校の人が卒業式練習と重なったりして来れてなくて残念だった。英和とか英和とか英和とか!←
・twitterを始める。エイトクラスタさんとの交流ができる。
・NPOカタリバが高校生対象に企画した「カタリバラボ」というイベントの第1回に参加。SFC生とICU生の参加が多すぎて笑った。そして世の中には早稲田塾外でもこんな面白い高校生がいたのかとびっくり。今村亮さんや今村久美さんと出会えたのも大きかった。第1回イベント終了後、カタリバラボのコアスタッフに就任。

4月
・入学。慶應の独立自尊の精神、慶應文のliberal artsの精神等に結構ガチで感動。慶應のいいところは自分の研究を愛してる教授が多いことだよなー。
・新歓。色々顔を出してみるもしっくりくるところはなく。結局どのサークルにも入らずじまい。
・とりあえず授業が楽しくてわっくわく。
・Rainbow Collegeの広報担当になった。もののこの1年ほとんど寄与できず反省…。
・第2回カタリバラボ開催準備に追われる。開催。多数の反省点を残す。

5月
・学校の授業、早稲田塾DCCインターン、チェアパーソン、セクシュアル・マイノリティ関連の活動等に追われ、てんてこまい。自分の身の振り方をどうすればいいのか考え出す。
・早稲田塾で働く意味とかを考えているさなかに@kurayu1126と会い、初めてちゃんと話した。4時間半つばめグリルに居座る迷惑な客だった←
・セクマイ関係では、idahoで新宿駅東南口でメッセージを読み上げるアクションに参加したのと、セクシュアル・マイノリティについて正しく理解する週間のシンポジウムに参加した。

6月
・プレカレッジlitに初参加。カタリバラボに参加してくれた高校生やその他の面白い高校生、それに社会人との繋がりができる。
・green drinks Tokyoとgreen drinks AKBに初参加。私にはgdAKBの方が合ってるなと思った。「エコ×秋葉原文化」というテーマ設定の強引さ、しかしそれについては真剣に考える感じはアキバならでは。参加者も面白いし、主催してるNPOリコリタとの繋がりもできた。
・カタリバラボ×Googleにスタッフとして参加。Google本社に入ってGoogle社員の話を聞くことができたのは本当に貴重な経験だった。彼らの話からは、仕事を心底楽しんでいることがひしひしと伝わってきた。
・つながりカフェに初参加。この辺りから少しずつ、いろんなイベントに参加する度に前に他のイベントで会ったことがある人に会うようになった。

7月
・プレゼンの会初参加。@takanobu_tと初めてオフで会う。山守に久々に会えて近況報告し合って楽しかった。
・レポートとテストにてんてこまい。
・出版甲子園のビラをもらいまくる

8月
・色々なところに顔を出しすぎて優先順位や自分の軸が良く分からなくなる。再考。
・NPOリコリタ主催「打ち水っ娘大集合」にボランティアスタッフとして参加。メイドアテンド楽しかった!
・AO講座4連勤の後、@2masato9と@kurayu1126と早稲田で晩ご飯食べた。めっちゃ幸せだった。
・早稲田大学オープンキャンパスに1日目は一人で、2日目は@2masato9と一緒に行った。受験生相談ブースにいた@mitoariと初対面した。このOCでもらった早稲田大学のサブバッグが使い勝手良すぎて今でも頻繁に使っているw
・出版甲子園の広報をしまくった。なんだかんだかなり貢献したと思うw
・「大学教育を斬る!~APU生×SFC生と考える~」開催。@yokomo07と共同代表を務める。高校生から社会人まで幅広い層が参加者として集まって、面白かった。
・早稲田塾スーパークロスカルチュラルプログラム(SC2)最終日に先輩として顔を出した。久々にSC2 2008メンバーが勢揃いして、みんなで二丁目に行ったりとかして楽しかった。
・東京プライドパレードで学生フロートのブース担当をした。学生フロートでは一番前を歩いた。渋谷~原宿を堂々と通行止めして音楽に乗って歩くっていう経験は単純に楽しかった。けど、「私は本当に彼女が欲しいのだろうか?」とか「ビアンとバイの違い」とか色々考えさせられてしまいその後数日間堕ちていた←
・30日と31日にまさかの2日連続東京ディズニーリゾート。30日は必死にボンファイヤーダンスに参戦。31日は高校の時の友人とクール・ザ・ヒート!最終日最終回を鑑賞。

9月
・One for Allに参加。結構一気に知り合いが増えた。この時知り合った女子との女子会がいまだに決行されてない!ので年明けたらしましょう>私信。
・出版甲子園2次審査に通過したため、3次審査のために会議を重ねたり企画書を書いたり色々考えたりする日々になった。なんというか色々と苦しかった…
・その繋がりで、今年一番の病み期到来。迷惑掛けた方、申し訳ありませんでした…。
・早稲田先生(@wasedasensei)×Co-NNECT企画に参加。高校生×大学生企画だったので沢山の人に会えた。そしてCo-NNECTを応援したくなった。
・ふとしたきっかけからモノ/ポリ、オープン/クローズドについてよく考えるようになる。

10月
・自由研究セミナーでやおい/BL論に取りかかる。文献を物凄い勢いで読み漁る。
・こじゆう動画を見て以来、初めは百合視点でAKB48に興味を持つ。徐々にAKB48というのはキャラクター消費現象なんじゃないかと思い、キャラ論に興味を持ち始める。(個人個人を見ていった時には、初めは優子の多様性とセクシュアリティに強い興味を持っていたが、今はなんだかんだたかみなのバランスの悪さと男性性と声とリーダーシップの取り方に惹かれている)

11月
・あざみ野市民講座「セクシュアルマイノリティとカミングアウト」第1回に講師として参加。初めて自分が本当に話したい話を公の場で話せたし、反応もなかなか良くて嬉しかった。
・早稲田祭に1日目は@2masato9と(またか)、2日目は1人で行く。結局運スタに会いに行く旅みたいになってた感が否めないという。@kurayu1126が超絶忙しそうに働いてた時、@mitoariは暇そうにしてたのは一体なんだったんだろう。
・13日、ブラヴィッシーモ!最終日。最終公演は一瞬のうちに終わってしまい、今でも終了が信じられないほど。
・One for Allに最後ちょっとだけ参加。初めて@FReeeeEeeeeDOMと対面した。
・カタリバラボ第2期aitaiが正式にスタートし、世代交代。
・ニュース検定1級取得に向けて少しの間凄く頑張る(=実力が付かないパターン…)。
・土曜昼に早稲田で@2masato9と@kurayu1126と会ってラーメンを食べるという謎の会が緩く開催されるようになる
・三田祭で塾生新聞配る。SOS団のコスプレ喫茶がやばくて結構長く居座る。首から肩、鎖骨にかけてと肩甲骨が出てるメイド姿やばばば!
・わかもの科に大学生スタッフ側として初参加。高校生と大学生の関係性について等、色々と考えさせられた。またここでも今まで知らなかった面白い高校生に出会えた。

12月
・カタリバラボ第2期aitaiメンバーで@yucca88の家で胡麻豆乳鍋。メンバーの年齢層が謎。しかし鍋はとってもおいしくて満足。
・関ジャニ∞ 8UPPERS東京ドーム公演に行って、やっぱり私はなんだかんだこのグループが好きなんだなと思った。すばるさんの歌がさらに進化していて痺れた。
・やおい/BL論一次提出と、生物の授業での捕鯨についての発表準備でてんてこまい。
・ニュース検定1級に受かっててびっくり。
・twitterでまた新たな高校生クラスタと出会っていった。@2masato9には年下に手出し始めたとか言われたけど違うもんね!←
・24日には@2masato9と母親@sonominaと私の家で非リア鍋会をして、草食系の定義や萌えと欲情の違いについて等話した。その様子をUstした。


こうやって見てみると、なんだかんだ2008年に負けず劣らず濃い年だったような。
今年私に関わった全ての方に感謝ですが、特に以下の皆様にはSpecial Thanksを。

まず、母親@sonominaや母親の見届けの夫(義父のようなもの)@komatacoをはじめとする家族。マイペースな私をなんだかんだ許してくれてありがとう。

@shiori1108。程良い距離感で、でも私が本当に困った時には必ず付き合ってくれて、ありがとう。友人ともパートナーシップは築けるんだと気付かせてくれた人です。来年も持ちつ持たれつでいきましょう。早く家に「ナナとカオル」3~5巻を持って泊まりにきてね(笑)
@Fuka3_2525。高校卒業後一番良く会ってるんじゃないかなあ。なんだかんだ月1回ぐらいは会ってると思う。特に今年は一緒に舞浜に行くことが多かったね。あなたと舞浜に行くと、一人で行くときのペースを崩さないまま、感じたことを共有してより高められるのでとても幸せです。これからもたまには色恋沙汰やその他色々についてじっくり話しませう。
@2masato9。なぜか卒塾してから、塾生時代よりも深く関わるようになった(笑)。今では私のセクシュアリティについてはほとんどのことを知ってるんじゃないかって感じですねw お互い不器用にしか生きられないけれど、来年もいろんな話をしながら慰め合って生きていきましょう(笑)。来年はお互い彼女できるといいね。と思いつつも多分お互い彼女できないよね。っていうか本当に彼女欲しいのかってところから疑問だよね。いくないいくない!
@kurayu1126。卒塾してからこんなに関わりを持てるとは思わなかった(笑)。5月に一度会っておいて良かったですまじで。あなたと話しているとセクシュアリティの多様性について物凄く考えさせられます。あなたとの関係性は確かに仲良いというカテゴリーでもなくなんだか不思議な感じですが、そんな不思議な付き合いをこれからも続けていければと思います(というか「続けてくれれば」だな…)。とりあえずお腹気持ち良すぎ。あと私のことを面白がりすぎ。でも面白がってくるあなたに萌えるから良(ry

@ryo_imamuraさん。カタリバに出会い、亮さんに出会って開けた世界が沢山あります。これからもカタリバラボ第2期aitaiスタッフとして宜しくお願いします。@yucca88の家での花火大会と鍋も恒例にしましょう(笑)。
@KOM_I。あなた自身凄く面白い上、あなたを通じて沢山の人と会うことができました。そのつながりの広さは本当に凄い。出会いに感謝です。
@takanobu_t。One for Allやプレゼンの会を開催してくれてありがとう。現大学1年生のハブみたいになってるのは紛れもなくあなただと思います。頭良いし視野広いし軸ぶれないし実行力あるしで尊敬!出会えて良かったです。これからもよろしく!
@daichittaXさん。twitter経由で突然お会いしたわけですが、それ以来私のことを面白いと思って構ってくださるようになり、ありがとうございます。なんか私ももっと勉強しなきゃなとか恋愛のプレイヤーとして強くならなきゃなとか凄く思います…。また卒論終わったらお会いしましょう!
@Marina_CHJP。あなたに会ったのは今年一番の衝撃でした。面白すぎるだろ、色々と!これからも私は真っ向からぶつかるし真剣に戦闘に挑みます(笑)。出会ってくれてありがとう。

文学部21組(中国語クラス)と5組(フランス語クラス)。始めは引きつつも、なんだかんだこんな私を受け入れてくれてありがとう(笑)。どっちもそれぞれ別の意味で物凄く変なクラスで幸せでした。みんなで三田に行きましょう。そして4月以降も同窓会的な感じでクラコンやろうぜ!
出版甲子園(@spk7th)。私に自分のセクシュアリティや恋愛経験について真剣に考える機会を与えてくれてありがとう。来年チャレンジするかはわかりませんが、大学在学中には必ずリベンジします!
早稲田大学。なんだかんだ週1~2回通っているので。早稲田の精神はあれはあれで凄く好きなのです。慶應にはないものを確実に持っているからこそ惹かれる。頭良い人達が本気でバカをできる世界。

長沖暁子先生。生物学、ジェンダー論、自由研究セミナー「ジェンダーについて考える」と、週3回も授業で顔を合わせた一年でした(笑)。バランス感覚の良さ、議論を俯瞰できるということ、独自の視点、論理の緻密さ等、学ぶべき点が多々ある恩師。これからも先生についていきます。3月に先生の家で鍋するのが楽しみ!



そんなこんなで、皆様今年一年本当にありがとうございました。
来年もどうぞ宜しくお願い致します。

クィア理論入門連続講座@東大 第1回について思うこと

 去る11月10日(水)、東京大学駒場キャンパスで行われた「<クィア理論入門連続講座>クィアって何?」第1回に顔を出してきた。
 この講座について、詳しくはこちらを参照願いたい。http://d.hatena.ne.jp/tummygirl/20101105/1288964871
 また、今後の予定はhttp://d.hatena.ne.jp/tummygirl/20101111/1289482026に掲載されている。

 講座開始前に、今回の連続講座のコーディネーターの1人である、東京大学大学院総合文化研究科清水晶子准教授(専門はクィア理論)から趣旨説明があり、これが非常に面白かった。
 今回の連続講座は、清水准教授と津田塾大学専任講師のクレア・マリィさんとが手を組み、「クィア性」と「教育」は両立しうるか、しうるとすればどのような形でか、といったことを研究しているプロジェクトの一環として行われるもの。
 特定のゼミで教えるだけでもなく、大学生・大学院生だけに教えるのでもなく、社会人や高校生にもクィア・スタディーズを教えられるかという一つの試みである。しかしそもそも「一方的に知識を伝達する」教育は、「クィア」という概念とは馴染みにくい。では、反クィア的にならない方法でクィア・スタディーズの視座を伝えるにはどうすれば良いのか。そのような方法は果たしてあるのか。それを探るための実験の場として、今回の講座が設けられたようだ。
 講座の講師は、東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程の川坂和義さん。何かあった時のサポート役として清水准教授も同じ教室内にいらっしゃる。

 授業自体は、まず、「全くクィア・スタディーズに触れたことが無い高校生や社会人には絶対についていけないだろうと思うぐらい、入門講座にしては難しいものになってしまっているな」という印象。そして、「ああ、クィアという概念・視座を一から伝えるのはこんなにも大変なことなのか」ということを痛切に思い知らされた。また、それと同時に個人的にはクィア・スタディーズのスリリングさ、学問としての快楽を伴った面白さも、久々に味わうことになった。
 今回、第1回でオーディエンスのレベルや背景がわからなかったということもあって、川坂さんは「わからないことがあればいつでも手を挙げて質問してください」と逐次質問を受け付ける形式をおとりになった。そのため本当に様々な質問が次々と出てきて、それに逐一丁寧にお答えになっていたため、講義の流れが質問で遮られてしまうことになり、講義全体としてのまとまりは少し欠いたかなという印象がある。さらに、質問のレベルは総じて高く、例えばもしもオーディエンスの中にそもそも「ヘテロ規範」「性差」「性自認」といった言葉の正確な意味を知らずそれを知りたいと思った人がいたとしても、そうしたレベルの質問はしづらい雰囲気になってしまった。
 結局、クィア云々の前にまずその前提知識としてのジェンダー・セクシュアリティという概念・視点を伝えるだけでもとても大変なことなのだ。大学のジェンダー論の授業であればそのために数回の授業数を割くであろうし、丸一冊ジェンダー・セクシュアリティについて説明した入門書(加藤秀一 (2006) 『ジェンダー入門』朝日新聞社. 等)もあるぐらいなのだから。それを、知識ゼロの人もいるかもしれないという前提で、ジェンダー・セクシュアリティ概念について伝えてさらにそこからクィアという概念についても解説し、クィア・スタディーズの歴史の初めの方も見るというところまで1時間半で持っていくのは、やっぱりちょっと難しかったんじゃないかと思う。
 そして、当然と言えば当然だが、クィア概念を概説するところでは非常にハイコンテクストな説明が為された。それが私が久々にクィア・スタディーズにスリリングな学問的快楽を見出せた理由でもあったのだが、と同時にハイコンテクストな議論に慣れていない人にとってはとてもわかりにくかったのかもしれないなとも思った。

 それから、個人的には授業自体よりも良い経験になったかもしれないなと思うのが、授業後の検討会への参加。これは、いろんな立場から参加した参加者達が講師とコーディネーターに授業の内容や進行等についてフィードバックしていき、それに対する応答や議論を重ねていく中で今後の授業の在り方について考えるもの。そもそものプロジェクト全体の趣旨を考えたら、むしろこちらの方がメインであるとも言える。
 なんというか、学部1年生が大学の授業の組み立てに関われることなんてそうそうない。これは大学の世紀の授業ではなくあくまでも実験授業の一だが、それにせよ大学という場で行われる講座の創造過程に自分が少しでも参入したり影響を与えたりできるというのは不思議なそして面白い体験だった。また他の参加者や講師、コーディネーターの、今さっきまさに行われた授業に対する感想や意見が聞けるというのもなかなか無い経験で、貴重だった。

 この第1回全体を通して一番印象的だったのは、クィア・スタディーズを専門とする/していた大学院生や社会人の参加がとても多い、というかむしろほとんどそうした人達で会場が埋まっていたというオーディエンス構成の現実だ。質問のレベルが高かったのも、ハイコンテクストな説明に対して「わからない」という声が出なかったのも、ここに起因する。
 でも、本当はこれではあまり「特定のゼミで教えるだけでもなく、大学生・大学院生だけに教えるのでもなく、社会人や高校生にもクィア・スタディーズを教えられるかという一つの試み」として機能していない。清水准教授は、この授業の « メイン »ターゲットは平均的な学部1年生を想定していると言っていた。私が知り得る限り、1回目に「平均的な学部1年生」はほとんど来ていなかったと思う。
 まあそれで何が言いたいかと言えば、是非この文章を読んでくれているみなさんにもこの講座に参加してほしいなということだ。この講座の回し者ではないが、要は広報がしたくてこの記事を書いたみたいなところがある(笑)。特に学部生や高度な議論についていく意欲がある高校生に来てほしい。恐らく私の周りにはそうした人がいっぱいいると思うのだ。講座の趣旨としても、学部生や高校生が参加することには大きな意味があると思うし、何より個人的にもクィアについてあまり知らない学部生や高校生がこの講座に参加したらどんな感想を持つのか、その中でどんな質問をしてくれるのか、といったことにとても興味がある。

 とりあえず第2回は今日11月24日(水)なのだが、第3回は12月8日(水)にある。第4回は12月22日(水)、第5回は1月12日(水)、第6回は1月26日(水)に行われる。毎回19 :30~21 :00に東京大学駒場キャンパス18号館内18号館ホールでの開催だ。一回毎の単発参加でも何の問題も無いので、是非参加してみてほしい。

ブラヴィッシーモ!最終日によせて—「最高!」という名の奇跡—

 東京ディズニーシーの夜を6年にわたり彩ってきたナイトタイム・スペクタキュラー「ブラヴィッシーモ!」が、明日2010年11月13日(土)、ついに終演を迎える。

 正直、まだ信じられない。

 私にとって「ブラヴィッシーモ!」は東京ディズニーシーそのものと言っても過言ではなかった。シーからブラヴィがなくなった暁には私はシーから足を遠のかせるんだろうなとずっと思ってきた。

 しかし、終わるものは終わる。
 4年前、ポルト・パラディーゾ・ウォーターカーニバルの最終日に味わった感動と、その後の猛烈な喪失感とを痛く思い出す。

 そこで、終演記念に「ブラヴィッシーモ!」についてちょっとした文章を書き遺しておきたい。



 まず、参考として、公式サイトにおけるブラヴィッシーモ!のストーリー紹介を引用させていただこうと思う。


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遠いむかし、火と水はまったく別の世界に住んでいて、おたがいに出会うこともなかった。
ところがある日、神秘的な”水の精”ベリッシーと勇壮な”火の精”プロメテオが出会い、奇跡のような物語が生まれた。

メディテレーニアンハーバーを舞台に、火と水の特殊効果をふんだんに用いて繰り広げる、誰も見たことのない壮大なスペクタキュラー「ブラヴィッシーモ!」。

ベリッシーの透明感あふれる歌声、激しく躍動的なプロメテオのリズム、そしてクライマックスを飾る、二人が奏でる美しいハーモニー。
素晴らしい音楽が、この物語をよりいっそう幻想的なものに。ベリッシーと出会ったプロメテオは美しい姿へと生まれ変わり、感動のエンディングを迎える。

静かにそして夢のように美しい水の世界と、ダイナミックな火の世界が織りなす「最高!」という名の奇跡
「ブラヴィッシーモ!」
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(東京ディズニーリゾート・オフィシャルウェブサイト内ブラヴィッシーモ!ストーリー紹介ページ http://www.tokyodisneyresort.co.jp/tds/japanese/event/braviseamo/story.html より)


 ブラヴィッシーモ!の魅力の一つは、ゲストによってこの物語に様々な解釈を施しうるところにあると思う。
 「火は水に恋をした」という開始当初のキャッチフレーズに凝縮された大枠のストーリーは不動だが、恋をした後、出会った後、どうなったかはある程度以上ゲストの想像に任されている。

 多分、最もポピュラーな捉え方は、二人が出会って恋に落ちた後、その恋が実ってフィナーレを迎えて沢山の花火にも祝福されてめでたしめでたし、という単純なハッピーエンド。

 しかし、フィナーレ後、テーマ曲の”Swept Away”が流れる場面では、実は水の精ベリッシーは姿を消し、火の精プロメテオだけがハーバーに残っている。
 ここから次のようなストーリーを描くこともできる。

 プロメテオとベリッシーは確かに恋に落ち両想いになった。しかしプロメテオの力が強すぎて、皮肉にもベリッシーはプロメテオに近づいたことにより消えて(亡くなって)しまった。しかし、ベリッシーの魂はプロメテオの中で永遠に生き続ける。その証拠にフィナーレ~Swept Awayでは、プロメテオの赤い身体に白と青の光が宿る。これこそがベリッシーの魂なのだ。ベリッシーはプロメテオのせいで亡くなってしまったとも言えるが、そのおかげでずっと一緒に生きていけるようになったとも言えるのだ。

 このようにブラヴィッシーモ!の物語を解釈した場合には、「エロス(愛)とタナトス(死)」というギリシア悲劇の大きなテーマが描かれているととることができる。
 よく考えてみれば、「プロメテオ」という火の精の名前も、ギリシア神話の英雄で人類に火を伝えた神とされるプロメテウスから来ている気がするし、まるでコロスのようなコーラスも音楽全篇通して見られるし、ブラヴィッシーモ!はかなりギリシア悲劇にインスパイアされている部分があるんじゃないかと思ったりもする。


 ブラヴィッシーモ!のもう一つの魅力は、心情描写の細やかさ。

 もちろん直接的に心情を言葉で説明しているシーン等はなく、プロメテオやベリッシーの動きからゲスト一人一人がそれを読み取らねばならないわけだが、特にプロメテオの一挙一動は一つ一つとても考えさせられる。

 私が一番好きなのは、それまで自信たっぷりな感じで雄大に羽ばたいていたプロメテオが、一度何かがきっかけで自信をなくしたように羽をしまい首もかしげ、しおらしくなるところ。
 そして、そんな時にベリッシーを遠くに見かけ、その瞬間に何かにハッと気付いたかのようにゆっくりと羽を広げ直し、始めの荒々しい雄大さではなく、丸みを帯びた、柔らかく成熟した雄大さをもってベリッシーを見つめるところ。

 私は場所的にプロメテオ側(火山・要塞側)で観ることが多かったので、いつもプロメテオと自分を重ね合わせて観ていた。
 私もいつかベリッシーのような女性に出会いたいなあと思いながら。

プロメテオは、Swept Awayという言葉の通り、ベリッシーによって浄化され魂を持っていかれたという部分があるわけで、でもSwept Awayを聞く限りではベリッシーもプロメテオによってそうされたという部分があって。
 そして、”Though love blinded me, it’s amazing how clearly I can see”というぐらい、互いの目を開かせてくれたものがあり。互いに本質が見えるようになり。
 そんな出会いは、本当に「最高という名の奇跡」だろうと思うのだ。


 最後に。

 私は本当にいろんな場所で、いろんな人と(時には一人でも)このショーを観てきた。
 その度に、いろんなことを感じ、いろんなことを想ってきた。
 時によって、見方によって、全然違った物語を描き出すこのショーは、きっと東京ディズニーシーでしか上演できなかったもの。
 あのメディテレーニアンハーバーの港でやったからこそ意味があったし、映えた。
 私はこのショーがシーで上演された6年間に立ち会えて本当に幸せだったと思う。
 何度このショーに救われてきたかわからない。

 本当にありがとう、そしてさようなら、ブラヴィッシーモ!