最近入荷したアイテムの中で、ひと際思い入れのある一着があります。
ファクトタムFACTOTUMショート丈スリムテーラードジャケットブラック44
ファクトタムのテーラードジャケット。
身体のラインを綺麗に出すタイト&ショート丈のシルエット。
使われている素材も良く、毛足の長い良質のウールを使用。
でもインポートブランドが多いリクオリティの中で、今なんでこのジャケット?
確かにバックボーンが魅力的な服は他にも沢山あります。
でも今日はファクトタム。
それはこのジャケット、僕がファッションにのめり込んだ「キッカケ」そのままのシルエットだから。
20代後半のモード好きの多くがそうであるように、
僕も学生時代エディスリマンの作るディオールオムに心を打たれて、
BOOK OFFでコレクション雑誌を買い漁り、
背伸びしてドキドキしながら正規店に行って、
その足でこれっぽっちもわからないクセにアートを見に行き、
いつでも服は「最小サイズ」にこだわって、
XSが着れないとめちゃくちゃ悔しくて、
ダイエットにもなるしお金無いからご飯を食べず、
バイト代の9割を服につぎ込む馬鹿でした。
シーズンで言うと2005~2007あたり。
その年代のファッションシーンを牽引していたディオールオムが得意だったのがこのシルエット。
シェイプされたウエストライン、大胆に短くされた丈。
そう言えばその頃はまだ「スキニー」と言う言葉が一般的じゃなく、
一部のバンドマンのピタピタした「スリムデニム」だったりして。
2007年、ファッションのボルテージはエディの退任間際で最高潮に達し、
経済は不況の真っただ中でしたが、生活に占める服のプライオリティは高く、
それは今のストリート×モードの流れとは比べ物にならい熱がありました。
昔良く父親から聞かされた
VANの衰退、アイビー、プレッピー。
石津謙介のスタイル。
それを
「またなんか昔の事言ってるなぁ」
と遠い話と聞き流していた僕。
そういえば去年、エディのサンローラン就任が決まった時にファッション誌で
「ちょっと昔の人のヒーロー、エディスリマンって誰!?」
なんて特集やってたっけ。
時代はめぐりまわります。
今度は僕が好きなこのエディスリマン以降の価値観が「昔の事」になるのでしょうか。
きっと今日も父はボタンダウンのオックスフォードシャツを着てる。
僕は、細いジャケットが好きだ。





