1話で終わらせるつもりが、話が脱線しすぎて3話に渡る事になったこのエッセイ。

せっかく一人になるのを見計らって読んだら「何だ、まだ続くのかよ!」と思われた方。

すいません。今回で終わります。いえ、終わらせます。

今日はとことん長いですぞ!!

まだ読んでない方はこちら↓からどうぞ。

第1話

第2話



もちろん今回もちょっとHな要素が入りますので、純朴たる少年少女は....




こっそり読め!




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下(シモ)に下がります。




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僕と神山の乙女タッグは上田に早速相談した。


上田は二つ返事で了解してくれた。


上田は相当腕に自信があるらしく、「俺が選べば大丈夫。まぁ自販機やったらすぐ買えるやろう」と、さも当然の様に言う。



何と心強い。



そんな上田を尊敬の眼差しで見つめる乙女タッグ。


まぁ、お金は3人で出そうかという事になり、取り急ぎ決行日を決める。




そして、決行日当日。


夕方頃、僕の家の最寄り駅に集まった上田、神山、僕の三人は、歩いて自販機のある場所まで行くことになった。


最初はワイワイ話しながら歩いていたが、目的地に近づくにつれ、ドキドキが高まってきて、口数が減ってくる。



本当にすんなり買えるのだろうか...



不安が僕の頭をよぎる。



だが、大丈夫だ。何といっても今日は頼れる兄弟子、上田がいる。大丈夫。


と、言い聞かせつつ歩いていると、ついに自販機のある付近に到着。




「とりあえず下見してみるか」


ということで、三人は大通りの横断歩道を渡って、路地に入る。


「おおっ!」


路地に入って少し先の自販機に明かりがついている。


前まで行くと、昼間は中がよく見えなかったが、煌煌と光る自販機の中にはHなビデオが所狭しと並んでいるではないか。


「これはすごい....」


こんな夢のような自販機があるとは....


ドラえもんだって、こんないい物出してくれないぞ...




と思ったのも束の間、誰からということもなく、三人はその自販機の前をスルーして、先へ歩いていく。


路地を出た三人は、最初の横断歩道まで戻る。


「どうする?」


作戦会議が始まった。


「だいたい値段は5000円ぐらいやったな」

「いいのあった?」

「う〜ん...」

「しかし、夕方で人通りが少ないけど、もし警察とかに見つかったらどうする?」

「いや、それヤバいわ!」

「そうやな、誰か一人が買いに行って、他は周りで見張っておこう」

「じゃあ誰が買う?」


沈黙....


「やはりここは上田の選球眼に任せるしか...」

「せ、せやな、慣れてるしな」


と、上田の方を見ると、



上田は首を横にブンブン振りながら、


「いや、俺は無理やっっって!」




えーーーっ!

あんなに、来る前は自信満々でしたやん!

とは、言えず。三人ともモジモジし始める。


か弱き乙女トリオ結成である。



こうなると、買う役の押し付け合いでなかなか決まらない。

時間は過ぎて行くばかりである。

結局、一番の弟弟子である、神山が買う事になった。

エロス道場の縦社会は厳しいのである。


「大丈夫!誰か来たらすぐ教えるから!」と神山をなだめ、


神山はしぶしぶ、横断歩道を渡って路地入口に向かう。


僕と上田はその後を追う。


路地に入り、自販機の前に立つ神山を路地入口から見守る二人。


神山はボーッと自販機を眺めた後、ごそごそと財布から千円を取り出し、自販機に入れようとする。


カチャカチャ....


ウィーン(紙幣を入れる)....ウィーン(戻る)....


ウィーン(また入れる)....ウィーン(戻る)...


ウィーン(やっぱり入れる)....ウィーン(やっぱり戻る)...



「何でやねん!!」


神山は苛立つが、何度やっても千円が入らない。


影で見守る僕と上田も手に汗握りながら、入る事を祈ることしかできない。


何度も入れる/戻るを繰り返した後、僕らの祈りが届いたのか、ついに千円が自販機に入った。


安堵して、もう一枚入れようとしているところで、僕と上田の横をオッサンがすり抜けて路地に入っていく。


「あっ!!」


僕と上田は神山に声をかけようと思ったが、二人で顔を見合わせて、そのまま路地入口から横断歩道まで走って逃げる。


しばらく経ってから、案の定、神山が怒りながら戻って来た。

神山「人来たんやったら、声かけてや!」

僕と上田「ご、ごめん!」

神山「おかげで、エロ自販機に千円入れようと焦ってる姿を、思いっきりオッサンに見られたし!!」


その神山の史上最低に情けない姿を想像して、僕と上田は吹き出した。


神山「いや、笑い事じゃないし!!」


僕と上田「いやいや(笑)....ごめん...ははは!!!(笑)」





ひとしきり三人で笑った後で、本題に戻る。


さて、どうしたものか。


上田の方を見ると、すごい汗をかいて硬直している。


これは無理そうだ。



「じゃあ、次は俺が行くしかないか...」

と、意を決した僕は、再び横断歩道から路地入口に向かう。




今度は万全を期す為、見張りを路地入口と出口に一人づつ立てる事にした。




いざ、一人で自販機の前までやってくると、やはり圧巻である。

何とも言えない圧を全身で感じる。


逃げちゃダメだ


逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ!!(←脚色)


おそるおそる千円を投入する。

やはり戻ってくる。

「これが例のトラップか......なんの!」

と、入れる戻るを繰り返し、また千円が入る。


「やった!」


と思った次の瞬間....





僕は路地出口にいた。




上田「はぁはぁ....どないしてん!?」

僕「いや....何でやろう....気づいたら、走っててん...」

神山「何でやねん!」


なぜか分からんが自販機の圧でやられた僕は、敵前逃亡してしまったのである。


恐るべし、エロ自販機。



神山「しゃあないなぁ、じゃあやっぱり上田が...」

上田は首をブンブン横に振る。

僕「いや、選べるのは上田だけやし...」

上田はなおもちぎれんばかりに横に振る。



しかし、二千円はまだ自販機に吸い込まれたままだ。

このままでは気づいた誰かに買われてしまう。事態は一刻を争うのである。


しびれを切らした神山がついに意を決する。

神山「じゃあ俺が残り三千円を入れる!そこで、上田が選んでボタンを押して、ビデオを持って行ってくれ!」

上田「えーーーっ!?」

上田は最初不満な顔をするが、結局しぶしぶ了承。時間は刻一刻と迫っているのだ。




神山はもう一度見られたから、怖くない、といった感じで、やる気満々で、路地入口から自販機まで向かっていく。

それを路地入口から見守る、か弱き兄弟子達。強くなったな、うんうん。


神山はなかなか吸い込まない自販機と格闘しながら、千円、二千円と何とか入れて行く。


そして、三千円が入ったところで、ついに『押す』のボタンが光る!


僕「やりよった!すげーぞ、神山!!じゃあ、最後は上田が....あれ?上田?」



さっきまで横にいたはずの上田が





いない。






神山も喜んだのもつかの間、その異変に気づき、狼狽し始める。


僕もぐるぐる周りを見渡すが、上田はこつ然と消えている。


ついに神山も僕のところに戻ってきた。




神山「上田はどこいったんや!?」

僕「分からん!!さっきまでいたのに...」

神山「今、買える状態やのに、どうしたらええねん!?」

僕「俺らで選ぶしかないんか...」

と、困り果てる僕と神山の横を、颯爽と駆け抜ける影。





僕と神山「あっ!!!!」




上田である。



上田は華麗に自販機まで走って行ったかと思うと、少し自販機の前で立ち止まり、


なぜかそこで、スーパーマリオのようにジャンプし、片手で『押す』ボタンを叩いた。





そして、出てきたビデオを取る事もなく、上田は出口に向かって走り去った。


僕と神山はその光景を見て、言葉を失った。


何が起こったんだ。


が、ふと我に返り、出てきたビデオを回収して、元の横断歩道のところまで戻った。




横断歩道のところには、汗をびっしょりかいた上田がへばっていた。


上田「....ビデオ取った?」

僕「いや、取ったけど....なんでジャンプしたん?」

上田「....わからん。」



という事で、色んな謎を残したまま、我々はミッションを終了した。





後日、回ってきたそのHビデオを鼻息荒くして見たものの、上田の選定にも関わらず、何ともビミョウな代物であり、三人で意気消沈した後は、どこに流れたのかはもはや分からない。




今でも、街の本屋の横にHな自販機が置いてあるのをたまに見かけるが、

僕はそれを見るたびに、あの青臭かった日々を思い出すのである。


大体、性の目覚めの時期には気持ちが空回りしてしまい、悲しい結末を迎える事が多い。



誰しも何カ所か恥ずかしい傷を負って、男子は成長していくのである。


だから、男の子を育てているお母様方には、いつかHなビデオや本を息子の部屋で見つけても、どうかそっと元のところに直しておいてほしい。そして、優しく見守ってやってほしい。


息子は羽ばたこうともがいている途中なのだ、と。



しかし、あのマリオジャンプは一体何だったんだろう。

それはこれからも永遠の謎である。

(青春ドドメ色~性への目覚めは悲喜劇編 完)
長文ですいません。お疲れ様でした。