2日目番外編。

鳴門海峡からはるばる日本橋の我が家に帰ると、やはり腹が減りすぎていた。深夜という事を口実にいつも通り自炊をあきらめ、日本橋にあるいきつけの24時間営業定食屋へ。

この店は基本セルフなのだが、ごはんと味噌汁と卵焼きだけは店員に頼むというシステムだ。チェーン店だが、一人でも気軽に入れるのと魚料理が食えるので、メシに困った時はよく利用していた。

その日もいつものようにごはんと味噌汁を頼むと、皿洗いをしていた店員のオバハンは「あいよ」と気のない声で答え、シンクに溜まった汚水の中から両手を取り出すと「シャッ」と手を一振り。そのままご飯と味噌汁をつぎだすではないか!そしてまだ十分濡れているその手の甲には、汚水にまみれたひじきがキラリ!


ババア!!手を洗えぇぇ!!


怒ろうかどうか迷った。しかし悪びれるどころか、「あぁ忙しいわぁ~」とさえ洩らしそうなババアのあまりに堂々とした振る舞いに、僕はもはや怒る気を失ってしまい、一度睨み付けただけでそのまま着席し、静かに飯を食う。そのババアは前にも、異常に風邪をひいていて、小皿の仕込みをやりながら、マスクもせずくしゃみをしまくっていた事も思い出した。


絶対にもうこの店には来るまい。


美術館で得たアーティスティックな気分をひじきババアによって台無しにされた僕はそう誓い、トボトボと日本橋の裏道を歩くのであった。


その後、腹痛に見舞われたのはもちろん言うまでもない..。