なかなか更新しきれない東日本旅情編をよそに、今日の出来事をば。


 夜勤明けで閉じようとする目をこすりつつ起きる朝10時。少しボーっとしてると昼が近づいてきたので、そうだ、せっかくやからブランチ代わりにあそこで食べよう、と家を出た。


“れんげラーメン”


 れんげラーメンは上本町ハイハイタウン(この名前を知っている人が大阪にどれだけいるだろうか)1階にあるラーメン屋で、高校に近いこともあって高校時代には足しげく通った店の一つである。桑田佳祐似の店主が作る(声や雰囲気まで似ている)こってりかつピリっとした熊本風とんこつラーメンはその味と量で近隣の高校生にはとても人気があり、僕も友達も(特にU嶋とかIちゃんとは)よく通いつめた記憶がある。

 卒業して浪人時代にも懐かしがって一度か二度行ったのだが、ある日どうも店を閉めるという話を店主が他の客としているのを聞いて、僕らはとても残念な気分になった。何か今の自分達と高校時代の記憶を繋げてくれる物がまた一つ減った気がした。少し経って、来た時にはもうその場所に店はなかった。

 それから僕やIちゃんは大学に入り、それぞれ新しい環境で多忙な生活を送っているうちに、フリーター気味だったU嶋となかなか連絡をとらない日々が続き、いつのまにか関係は途絶えてしまった。ハッと思い出して、何回かメールや電話したりしたものの、もう愛想を尽かされてしまったのか、何の返事も来なくなってしまった。周りの友達からアプローチしてもやはり無理だった。僕とU嶋の関係はそんな状況のまま3年ほど経った。 しかし、ふとした時に友達と高校時代の話になって、どうもれんげラーメンは別の場所に移転しただけであり、今もやっているという情報を得る。しかも同じハイハイタウン内で。僕は嬉しさの余り小躍りしそうになった。それでやっと今日行くことにしたのだった。

 電車で谷町九丁目に行き、地下からそのままハイハイタウンに入る。「まさか地下に移動したとか...」と地図を見ると地下1階に「れんげラーメン」の文字が!「よっしゃ~!!」店へと向かう。

 店は昔のいかにも中華料理屋な雰囲気は影を潜め、カウンターのみのこじんまりとした、しかし格式高そうなきれいな内装に変わっていた。昔何人かいたパートのおばちゃんもおらず、桑田似の店主と奥さんらしきおばちゃんの2人で切り盛りしているようだ。平日昼時もあって店はサラリーマンに溢れている。僕はなつかしの「れんげラーメン半チャンセット」を注文。待っている間も色んな思い出が巡る。ラーメンを食べながら、教師をバカにしたり(本当に周りにはどこか折れ曲がった教師しかいなかった)、バイトで店長とケンカ別れしただの、塾のあの子が可愛いすぎるだの、しかし俺らは硬派に行くだの(笑)、あのCDはBURRNの点数が今いちだっただの(これはメタラーにしかわからないですね...笑)、あのバンドが今熱いだの、しかしこのラーメンは食後の変なアブラ汗が半端ないだの...本当に色々喋ったなぁ。

 そしてラーメンとチャーハンが出てくる。一口、二口食べるごとに味を思い出す。この味、この味だよ!チャーハンも最初「少し薄いかな?」と思ったが、食べるうちに味の濃いラーメンと程よく合って「あ~、やっぱこの味やわ」と思い出す。うまい、うまいと食べてるとおばちゃんが水を入れに来てくれる。すると入れ際に、顔を覗き込まれて「兄ちゃん、髪型変わったね~!」と言われる。僕は一瞬ギョッとなり、持ち直して「えっ?わかります?」とほころんだ顔で返す。あれから5年ほど経っていて、かついつも高校生だらけだった中、まさか向こうも僕を覚えていると思わなかったのだ。恐るべし、おばちゃんの記憶力。その会話で余計に時間がタイムスリップする。あの頃の空気をすぐそこに感じれる。ただ今を楽しむことに明け暮れていたあの日。自分が何にでもなれるような気がしてたあの日...。

 食べ終わると、混んでいたのですぐに勘定を済ませる。去り際におばちゃんと店主に「なつかしかったです。そしておいしかったです。ごちそうさま。」と礼を言い、出て行く。たかが5年。しかし、その5年で僕は色んなものを得て、色んなものを失ってきたんだ。僕は礼を言いながら、自分が歳を取ったことをすごい実感してしまった。そしてU嶋と長く会ってないことも...。あぁ、U嶋に会いたい。会って、「ったく、何も変わってないな~」って言い合いたい。話したいことは山ほどあるけど、今はその一言だけでいいから。

 電車に乗ると、僕はいつのまにか汗をかいていた。変なアブラのような汗を。



れんげラーメン、おいしいですよ。