お待たせしました。第2回です。一体何のことか意味不明な人は前回からお読みください。ちなみに僕も改めて読むと意味がわかりません(笑)。



 閉鎖された海とは対照的に僕らのテンションはわけもなく高い。そして1ℓの馬鹿デカイ缶ビールはMガーが持つとその手の大きさで、普通のビールに見えるから不思議だ(笑)。色々話しつつ、花火に各々火をつける。あったのは線香花火だけであったが、一般のものと、手持ち花火的の火力で最後に犬のウンチョス的な灰を残すものの2種類があった。「きれいやなぁ」なんて感慨にふける。途中いつも通り落ち着きのない僕は何気につけたウンチョス花火の勢いにやられ、親指をヤケドする。その状況はAライちゃん曰く「人間の親指から煙が出ていた」らしい。ヤケドした部分は黒く焦げていた。Mガーに絆創膏をもらって猛烈にジンジンしだすヤケド痕をかばいつつ、僕らはなおもテンションを上げる。途中通りがかる「今宵はおまえを…」的なカップルをものともせず、「わくわく宝島っ!」などと騒いでは雰囲気をぶち壊していった。本当に青春の1ページのごとく光景であった。こんなことできるのも今だけなんだな…、そう思うと少し淋しくなった。僕は不意に時間が気になりだす。23:20。あれ?あと10分?と、にわかにざわつくが、本当の終電は23:41。なぁ~んだ、とまた喋りだす。

 どれだけ話しただろうか。そろそろ…と、思い時計を見ると、23:35を指している。もう行かなければ。名残惜しいが、終電に遅れたらシャレにならないので、すみやかに立ち上がる。3人ともアルコールで、フワフワしながらワイワイと駅を目指す。しかし、僕らはここで重要な間違いを起こしていることに薄々感づいてきた。どう考えても終電に間に合わないのだ。それもそのはず、海辺から駅までは急いでも10分はかかる。5分前に出ても間に合うはずがないのだ。しかし、僕らはアルコールのせいもあり、「何とかなるさ」と信じて疑わないまま、ついに終電の時間が過ぎてしまった。
 正気に戻らなければならない気がする。そう感じた3人は、とりあえず駅まで歩く。終電を逃した今、選択肢は4つだ。

1.タクシーで家まで帰る
2.タクシーでJR弁天町駅まで行き、そこから終電の遅いJRに乗る
3.誰かに車で迎えに来てもらう
4.歩いて帰る

しかし、ここで注意してほしいのが、全ての選択肢が「まず家に帰ること」が前提である。つまり、この地で夜明けを待って始発で帰るという考えは何故か浮かばなかったのである。誰一人として。揃いも揃って夢想家であった。これがあとで悲劇を生もうとは…。

 何はともあれ僕らは検証していく。まず、1は学生の財力では不可能。何より遠すぎる。2を検証しようと僕は駅の周辺で待っているタクシーに果敢に声をかける。結果、タクシーの運ちゃん3人に囲まれながら、「弁天町まで15分」「電車はまだ動いている」という情報を得る。なんだ、電車まだ動いているのかと、駅に上がろうとする僕。が、もちろん止められる。だって終電はもう過ぎているのだ。なぜこの時タクシーの運ちゃんがウソを教えたのかはいまだ謎のままである。3も考えたが、この時間に叩き起こして迎えにこさせるのはあまりに迷惑だ。残るは4…だけどなぁ…。と言っていると、MガーとAライちゃんは明日にテストを控えた僕に最終的な決定権を委ねてくる。う~ん、しかしどれも微妙だ。

 もはやどうしようもないので、とりあえず半分冗談のつもりで東に向かって歩き出す。道のりは果てしなく長い。しかし、未だほろ酔い気分の僕らは何故か無性に楽しく感じる。「非日常すぎるなぁ」なんて言いながら、歩を進める。

 少し歩いたところで、僕らは見慣れたものを道端に見つけた。オレンジっぽい色で、『Capade』と書かれている、一回り小さい自転車…

僕がいつも杉本町で愛用してるチャリだ。

何でこんなところに!?僕らは目を疑った。まさか主人の危機を察知して、一人こんなところまで迎えにきてくれたのか!?そういえば、だいぶ泥でうす汚れて、よくわからないつたがハンドルに絡まっている…「お前という奴は…」僕はこの奇跡に(笑いすぎて)泣きそうになるが、しかしよく見ると、前カゴもなく、少し色が赤すぎた。言うまでもなく別のチャリである。しかし、僕はこれも何かの縁と、そのブラザー的チャリを仲間に迎え入れることにした。鍵はかかってなかった。乗ってみると、何とも言いがたい硬い感触が尻を打つ。そう、パンクしていたのだ。でも、そんなことは気にしない。パンクなどあとで直したらいいし、何より自宅周辺で使うチャリがなかったところなのだ。ということで、僕はパンキッシュなチャリを友にまたワイワイと歩き出した。しかし、このチャリはそれほどのリクーム氏の愛情にも関わらず、しばらく歩いた後「やはり邪魔」という鬼の心変わりで、近くのマンションの下に放置されることになる。リクーム本人は後に「マンションの下で誰かにまた拾われるやろし、道端に捨てられてんのを拾って次のチャンスを与えたんやって。しかも別れ際にまたがってさよならとまで言ってんで!」と必死に弁明したが、耳を貸すものはいなかった。

 大阪はコンビニが定期的にあって本当に助かる。Mガーは酒のせいかトイレタイムをほぼコンビニを見つけるごとに要求する。僕はその間、先述のウンチョス花火のせいで負ったヤケドを冷やすためのカルピス(氷ver.)を買う。Aライちゃんはヒールで歩いていたため、これからの長期戦に備えて代わりになるサンダルに履き替えようと、コンビニごとにサンダルを探し回る。全くわけのわからない3人。もちろん、コンビニにサンダルなど売っているわけがない。しかし、盲目な僕らはコンビニに入るたびにサンダルを探し、たまに店員に尋ねて怪訝な顔をされ、「サンダルを置いたら絶対売れるのに」と意味不明な言葉を吐き捨てて店を出ることを繰り返す。なかなかサンダルは見つからないまま、歩く距離だけが伸びていった。途中、チャリに乗ったチーム・ポリスメンに出くわし、未成年と思われたのか「はよ帰れよ~」と横を通り過ぎながら言われる。その状況を全く理解していない投げやりな発言に、「はよ帰れたら、帰っとるわ!!」と、三人もちろん暴れ散らしたのは言うまでもない。