今日は僕の誕生日ですが、ワーカホリックの僕(真逆)としては日記を書きます。さぁ、感動の3部作完結編です。ハンカチをお忘れなく。ストレンジャーはパート1から見てね!

 姉さん、事件です。高2の春、その日もいつも通り公園での走りこみ練習はサボって、部室でたむろっていた僕達(U君とJ君と僕の3人)はヘヴィーメタル名盤レビューや今度の学祭バンド大会に出演しようとか、あとは多くの高校生がそうであるように、下ネタで盛り上がっていた。話が一段落して、まだ顧問が見に来る実践練習までは時間があり、ヒマでしかたなかったので、落ちていたガムテープで部室の壁に何故か「(顧問の名前)はホモで@*%#(日本の成人男性の悩みランキング第1位)だ」と貼り始めた。今となっては意味が分からんが、その時はヒマを埋める作業で夢中であった。若い時はこういうくだらんことをしたがるのである。貼り終えた僕達は達成感で「いい仕事してますねぇ」とかわけ分からんことを言いながら、もう時間やろう、と次に実践練習をする体育館へと足を運んだ。しかし練習はまだだったようで、体育館はガランとしていた。「何だ、まだまだやん。戻ろうや。」と、部室に帰っていった。部室があるのは運動場の端にある二階建ての古い横長の建物であり、いかにも「ここは治外法権だぜ~、へっへっへっ」といった雰囲気を出していた。それは嘘ではなく、部室オンリーな建物で先生は滅多に来ないので、学校の中のオアシスと化していた。そんな中の2階奥に卓球部の部室はあった。僕達はもう一度たむろうと外に突き出たボロい階段を登っていき、廊下を歩く。もうすぐ部室だ。 と、先頭を行くJ君がくるっと振り向き、「ヤバい」と一言青白い顔をして呟き、一目散に階段の方へ戻るではないか!「えっ?」と思い、意味も分からず前を見ると、前方10mの卓球部部室前の扉が開いている。U君と2人で部室を覗き込むと、僕らの目に映し出されたのは、暗い部室の中で背広のちょっと青髭のデカい男が壁のガムテープを必死に剥がそうとしている光景だった。「ヤバっ!!」どんな時でも人は本当に驚くと、心の声が出てしまうのである。「ヤバッ!」という声はデカい男の耳にも届き、ドアの方向を見る。すごい形相の顧問の先生登場である。顔を見るが先か、走るが先か、僕らは踵を返して階段へ駆け出した。しかし、時既に遅し、顧問のドスの効いた「待てコラァァ!!」の声で一喝され、僕らは渋々、部室の前に戻った。

 奴は一人待っていた。さっきより形相はマシになったが、殺気は確実に大きくなっている。ドラゴンボールで言えば、「スカウターには反応しない隠れた戦闘力」のようなものだ。おそらく戦闘力を自在に変化させれる種族なのだろう。そして奴は少しうつろな目で、壁一面にガムテープで書かれた文字を見ながら、時々眉間に皺を寄せ、小さくうんうんうなずいた。断っておくが、この顧問は青髭と時々カマをにおわせる行動を除けば、マジメな教師であり、とてもユーモアの通じる相手ではない。もちろんその文字は先程僕らがひまつぶしに作ったものだ。僕ら3人とも予想外のシュラバ☆ラ☆バンバな光景にこの上なく青ざめた。少し間があった後、顧問はようやく口を開いた。

顧問「(小声で)おまえらか?」
3人「えっ…?」
顧問「(いきなりでかい声で)『おまえらか?』言うてるんや!!!』
3人「(ひょぇ!)」
顧問「おまえらやな?職員室まで来い!」
3人「(口々に、マジメな顔つきで)違います!×3」
顧問「じゃあ、誰なんや?ほんで、このタバコの吸殻は何や?」
3人「(驚いた様子で、口々に)え?どこにそんなんあったんですか!?本当に僕ら知らないですよ。」

僕らは目で喋り、抜群のチームワークでこの場の暗黙のルールを作り上げた。条項の内容は以下の通りである。

第1条 全てシラを切りまくれ
第2条 隣のサッカー部のOBのせいにしろ

以上。実際にその日は、昼休みに先輩が部室に数人のサッカー部OBを入れており、それを部員大半が目撃していた。U君はとっさに機転を利かし、「サッカー部OB」という追い詰められずかつ裏づけ可能な理由を持ち出した。冷静に淡々と今日の出来事を喋ったので、それが効いたのか、顧問も「う~ん、そうかぁ…」とうなり始めた。ラスボスもあと一息である。あと一息で奴の息の根を止められる…。

顧問「じゃあ、(【ホモで@*%#】を指して)これもそいつらの仕業なんか?」

オウンゴーーール!僕らは少し吹き出しそうになりながら、それを悟られないよう顔を一層険しくして同意した。すると、顧問は「そうかぁ…」と沈黙してしまった。どうやら混戦を重ねた延長戦のVゴールは顧問自らのオウンゴールによって幕を閉じたようだった。とりあえずその場は暗黙のルールに従って凌ぎ切った。一度職員室でサッカー部OBについての詳しい事情を説明させられたが、どうやらあの事件についてはシロと判断されたらしい。いや、少なくともグレーではあったに違いない。ただし、練習をサボったことはバレて、大目玉をくらったが…。

 その後、この事件をきっかけとして、顧問は部室のロッカーの中身を勝手に開けてマンガやエロ本などは全て処分し、挙句アイドルのポスターやロッカーのシールに至るまで全て部員の手で剥がさせ、きれいにさせた。そして部室を時々点検するようになり、部員のオアシスは消滅した。そして、僕らはというと、事件以降何だか居づらくなり、ついに夏ごろパラパラと退部届を出した。ここで僕の体育会系クラブ人生は終わりを告げた。この後は、バンドマンとヘヴィーメタルCD批評と、異常言動・異常行動を生活の中心に据えて、ダメ人間道をひた走るのである。今思うと、顧問の先生には悪いことしたなぁと同情を感じる…。ちなみに、僕らが辞めた後の卓球部はかなり強くなったらしい。そっちは何だかな~、くやしいなぁという感じである。

 そんなわけで、僕の得意なスポーツは未だ「卓球」なのである。軽い気持ちで温泉旅館やJJクラブなどで僕に試合を申し込むとヤケドするぜ!(笑)。

(卓球部危機一髪編 完)