朝一で自分一人で向かった親父の元。


ものの10分もしない内に先生に呼ばれた。

今後の方針を、と・・・<病状等報告書>


内容は、書けない。書きたくない。


話を聞き、病室に戻る。


目を開けている親父。

その顔は、一昨日より昨日より、とろんとした目。


話しかけると頷くのは、耳は聞こえているんだと思う。




自然の摂理だとは分かっている。

自然な順序だとも分かっている。


救いは、痛みがあまり無いということ。

それは、昏睡状態の初期だということも。


いつも気を遣い、周りの人を気に掛け、自分より周りの人が

何よりも優先する性格。


だからあえて言ってみた。


<仕事行ってくるわ>


すると、手先だけ動かすように、


<行け>、と。


よかった。


いつも通りの親父で。


でも俺は意地悪なのか、親父の横に居つづけた。

離れたくなかった。


少しでも一緒にいたいんだよ。


親父が寝ているベットに腰掛け、一生懸命話しかけた。


<今日は埼玉から、親父の弟が来るよ>

<埼玉の妹は、みんなに言いふらかしてるみたい>

<岩手からは、明日と月曜日に来るってさ>

・・・・・・・・


すると、ニヤッと笑った。


その笑顔を見て、涙が溢れそうな俺。


絶対泣けない。


親父が笑ってるのに。


・・・




看護師さんが来て俺に耳打ちをしてきた。

管を通すか、おむつを・・・・と。

迷わず答えた。


管はいりません。


では、、、、、、わかってます。買ってきます。


いろんな管を付けたり、コードだらけにされんのなんて

親父が喜ぶわけない。


病院と隣接しているローソンで、初めておむつを買った。

病室に戻ると親父は目を閉じて寝ていた。

親父に見えないとこに、おむつを置いて。

寝ている親父に、じゃ行ってくるわって言って。


夜何時になろうと関係ない。

今夜も親父の顔を見に行こう。