こんにちは、生殖心理カウンセラーの菅谷典恵です。

 

年度の変わり目心機一転、張り切りたくなりますが、今回はがんばらないことをお勧めする内容です。

 

妊活をしていると、いつの間にか生活に制限をかけてしまうことがあると思います。これをすれば、あるいはあれを我慢すればきっと良いことがやってくるはず、というアレです。取引のようなことが心の中で行われ始めると、自分にとって快適ではない方を選ぶことが正解という心境になりがちですね。

 

カウンセリングにお二人でいらした男性が、

「最近、妻が楽しそうではなくて見ていてつらい」

と言いました。

 

「以前はおしゃれをして素敵な所に行くのが好きだったのに、今は、腹巻や重ね履きをした靴下のためにかわいい恰好が難しくなり、カフェインを避けるために好きなカフェからも足が遠のき、お化粧もやめてしまった。今が悪いわけではないが、以前の楽しそうな感じが失われてしまってつらい。自分に原因があって体外受精をしているので、無理をさせているようでとても申し訳ない。また以前のような彼女を見たい。」

とのことでした。

 

3人でお話しするうちに、女性が生活の中でご自分に課していた制限をエビデンスと照らし合わせて見直し、少し緩やかになられたようでした。万全の体制で妊娠に臨みたいと思いますが、バランスが難しいですよね。夏でも腹巻を欠かさない方、冷たい飲み物を避けている方、いろいろな努力をされている方をお見掛けしますが、暑いときに冷たいジュースを飲んだからといってその周期に妊娠できなくなるわけではないのですよね。

 

お食事を気にされている方も頑張りすぎないでいただきたいのです。

 

私の大好きな本に、料理研究家の土井善晴さん「一汁一菜でよいという提案」というものがあります。

 

土井さんのインタビュー記事の抜粋です

「ご飯を炊いて、具のたくさん入った味噌汁さえ作れば、食事になる。 これは、もともと日本の暮らしにあったごく当たり前のこと。昔も今も仕事に忙しい日に、ご馳走は作れません。一汁一菜とは、「汁・飯・香」ご飯を炊いて「味噌汁」を作って、漬物をつければいいのです。味噌汁を具だくさんにしたら、おかずを兼ねるものになるので、味噌汁とご飯だけでOK。いろいろ季節の野菜に肉を何か入れることで、栄養的にも問題なし。」

土井善晴さん 1日3食死ぬまで「一汁一菜」で問題なし 日本中で実践すれば食品ロスも解決|日刊ゲンダイDIGITAL

 

個人的にこの本は、一汁三菜を目指さないとよい食事ではないという呪縛を解いてくれた画期的なものだと思っています。あれもこれもと盛り込みすぎてルーティーンが忙しくなりがちですが、たまに棚卸もしてみていただければということで書いてみました。

 

しかしここまで書いて、この文章のタイトルが思い浮かばず、数日が過ぎました。頭の中で何かがふっと緩めば出てくるのかもしれませんが、それがどうしても難しいんですよね。ふだんのマインドから少し離れてみる、ということがいかに困難かということだと思います。ここまで書いた内容も同様かもしれません。

 

ということで、最終的にこのタイトルにしました。最後までお読みくださりありがとうございました。

 

 

管理人コメント

忙しいという漢字は心を亡くすと書きます。不妊治療に限らず、気持ちの余裕がなくなってくると毎日が灰色になってしまい今まで楽しめていたことが楽しめなくなったり、オシャレに気を使わなくなったりして、日々のうるおいがどんどんなくなってきます。余裕がなく焦っている状態では不妊治療をはじめ何をしてもなかなかうまくいきません。どんなに忙しくても、どんなに追い詰められても、どこかに「ゆるさ」「余裕」を持つようにしたいものです。