スポーツの大会等で優勝した選手が、「努力は必ず報われる」などとを言うことがある。

 

だから皆さんも諦めず頑張ってという励ましなんだろうけれど、結論から書くと、筆者は「努力は必ず報われる」という言葉が好きではない。正確には大嫌いである(個人の感想です)。もちろん、地道な努力は大切であり、それが報われることも多いだろうし、頑張らなければ報われないことが多い、ということには寸分の疑いもない。でも、「努力は必ず報われる」なんて断言してしまうと、じゃあ報われなかった人は努力してないってことなのか、2位以下は全員努力が足りなかったってことなのかと。血のにじむ思いで頑張っても結果に結びつかなかった多くの人たちを、すごく傷つける言葉に聞こえてしまう。

 

ベートーベンは、「努力した者が成功するとは限らない。しかし、成功した者は必ず努力している。」と言ったそうだが、こちらの方がまだマシだが、成功した者は努力をしていることが多いが、「必ず努力している」とは限らないよなあ、などと思ってしまう。イチローは努力は報われるかという質問に対してこんなことを言った。「報われるとは限らないですね。もっといえば、努力と感じている状態は、まずいでしょうね。その先に行けば、きっと人には努力に見える。でも、本人にとってはそうじゃない…という状態が作れれば、それは勝手に報われることがある…ということだと思います」と答えたそうだが、好きこそものの上手なれ、ということが言いたいらしい。スポーツならそれでいいけど、、、でも不妊治療はそうとは限らないしな。

 

 

不妊治療は、頑張れば頑張っただけうまくいくのか。もちろん、大筋では、ある程度はちゃんと頑張ったほうがいい。必要と説明されたサプリメントを自己判断でやめたり、毎日内服するものを週に数回しか飲まなかったり、薬や注射の使い方を間違えたり、専門医受診指示したのにしてないとか、減量指示したのに全く食生活変えてないとか、禁煙の話したのに1本も減ってないとか、さすがにもうちょっと頑張った方がいいんじゃないかという方もおられるが、最低限度のラインは頑張っているほうが結果が伴う傾向がある気がする。しかし、頑張りすぎると疲れてしまうし、自分が追い詰められてしまうほどは頑張らなくてもよい。自分のSOSを聞いたらちょっとラクをしてもよい。例えば、妊活中の飲酒やコーヒーなども一応の基準はあるが、たまに超えるくらいで即何か問題が生じるわけではない。飲酒を推奨するわけではないが、たまには夫婦でワインでも飲んでいい雰囲気になることだって大事だろうし(注:妊娠判定陽性後の飲酒は不可)、自分のお気に入りのカフェで一息ついて気持ちを切り替えることができるのなら、それも必要なことかも知れない。あれもこれもフルコースで全部やって、「まだ私にできることはないですか」と矢継ぎ早にご質問をいただくこともあるが、もちろん、ベストを尽くすことは大切、やれることをしっかりやってナンボではあるが、何でもやればいいというものでもないし、ふと気を抜いた瞬間にうまくいくこともあるから、自分の頑張る気持ちが自分を追い詰めない程度に過不足なくほどよく頑張るバランス感覚がいかに重要か、そしていかに難しいか。でも、ここ一番勝負をかける局面では全身全霊で頑張った方がよい。そこで120%頑張るための余力を日頃たくわえておくことは大切。

 

体の健康も心の健康も大切。毎日笑顔、招福万来、明日も1日頑張りましょう。