当院は「ふたりで取り組む不妊治療」をコンセプトにしています。男性外来も毎日行っており、男女を同時に診る体制を整えています。

 

とはいえ、実際の負担はどうしても女性に偏ります。

 

先日、ご夫婦で受診された方で、その日は男性の採血がないことが分かり、「やったー、俺採血苦手だから」と言って奥様に睨まれ、「奥様はいつも採血や自己注射をしているのですから、思ってもそういうことはおっしゃらない方が」と筆者にたしなめられたご主人がおられました(こういう場面、実は珍しくありません)。

 

女性の負担は、一般的な男性が想像するよりもはるかに大きいものです。十分な想像力を働かせて、気遣いをしていただければと思います。

 

 

では、具体的にどうすればよいのでしょうか。

 

1. 「関心」を言葉にする

女性が求めているのは、「気にかけてくれている」という実感です。まずは、妻の通院日や通院目的をある程度把握しておくこと。家に帰ったら、ふとしたタイミングで、「今日はお疲れさま」「どうだった?」と、さらっと聞いたりすると、「あ、覚えててくれたんだ」と安心するのではないかと思います。根掘り葉掘り聞く必要はありませんし、アドバイスもあまりいりませんが、何か話したそうなことがあれば、傾聴して差し上げてください。

 

自宅で自己注射をしていたら、「大丈夫?」と気遣いの言葉を。注射だから痛いに決まっているので、「痛くない?」と聞くより「大丈夫?」とか「お疲れさま」のほうがお勧めです。

 

 

2.「行けない理由」ではなく「行きたい気持ち」

採卵や胚移植、手術の当日。男性はどうしても仕事で付き添いができないこともあるでしょう。行けないことがあるのは仕方がない。そんな時は、「俺仕事だから行けないので」と言い切ってしまうのではなくて、「本当はついて行きたいんだけど、その日はどうしても休めないのでごめんね」くらいがよいと思います
 
イベント時の来院が難しい時でも、普段の診察に、たまには一緒にお越しいただけると、雰囲気が分かってよいと思います。

 

3.「聞き上手」の極意は9:1

女性の愚痴が止まらないこと日もあるでしょう。そういう時のポイントは、9割聞き流すけど、真剣に話を聞いていたことが分かるような気の効いたコメントを1割だけするのが秀逸だと思います。聞き上手は大切ですが、やりすぎると、「聞き上手が大切」みたいなマニュアルそのまま実践してますみたいな薄っぺらい感じになっちゃいますから、そうならないように注意が必要です。

 

「ここはちゃんと意見をしたほうが」という要所では、「それは僕〇〇だと思うな」としっかり意見を言ったりしてみるのも、頼りがいがあります。もちろん、女性がその通りにするとは限らなかったりするのですが、それも含めて「一緒にやっている」ということなので、そのあたりは深追いせず。

 

さいごに:想像力のスイッチを入れよう

不妊治療は「ふたりでやるもの」と言われますが、実際の負担はどうしても偏ります。だからこそ、せめて想像力をしっかり働かせて、「一緒にやってる感」が女性に伝わると、安心してもらえるのではないかなと思います。ほんの少しの違いで、印象は大きく変わります。

 

それでは今日はこの辺で。