産の原因も対策も多種多様ですが、不育症検査といえば通常は、「凝固系(凝固線溶系)異常」「抗リン脂質抗体」「免疫系」を調べることが多いと思います。検査の内容については色々ありますが、ここでは敢えて触れません。

「凝固線溶系異常」「抗リン脂質抗体」の場合は、胎盤レベルの微小血栓→血流障害→流産(もしくは着床障害)、というストーリーなのですが、血栓は、凝固系異常と血小板の合作で起こります。

このあたりに異常がある場合、アスピリンの内服とヘパリンの注射が治療として用いられますが、主にアスピリンは抗血小板作用、ヘパリンは凝固系に作用します。不育症専門を冠するクリニックでは、アスピリンのみが処方されることも少なくありません。もちろん、ヘパリンは副作用や身体的・経済的負担もあるため、軽症例に対してアスピリン単独療法が選択されること自体は一理あります。

ただし、アスピリンとヘパリンは「強い・弱い」という関係ではなく、作用する領域が異なります。したがって、凝固系異常まで関与が疑われる場合には、状況に応じてヘパリンを併用することで、より広い範囲をカバーできる可能性があります。ことさらアスピリン推しの医師もおられるようですが、何度も流産した経験があったり、中期流産の経験がある場合、検査結果の異常度合いが強い場合は、もう少しヘパリンを考慮してもよいのではないかと思います。



問題は、出血先行型の流産です。出血が始まってそのまま心拍停止、あるいは進行流産に至るという経過を繰り返す方は一定数おられます。

こうした方々において、たとえ凝固系や抗リン脂質抗体に異常があったとしても、それが過去の流産の主因であったと断定できるとは限りません。特に出血先行型の経過が複数回ある場合には、アスピリンの持つ出血傾向への影響も踏まえ、真逆の止血をターゲットにしなければうまくいかないケースは確実に存在します。

実際の臨床では、出血先行型の流産を繰り返す方に対しては、血栓予防ではなく、止血や子宮環境の安定化を重視した治療(黄体ホルモン補充、子宮収縮抑制、必要に応じた止血対応など)によって、出血を最小限に抑えながら妊娠継続に至るケースも少なくありません。

もちろん、出血があっても妊娠継続できる場合も多いですが、一定量以上の出血が直接的な流産の引き金となるケースも存在します。そのため、状況によっては血栓対策よりも出血コントロールを優先すべき場面もあり得ます。

検査結果だけで治療方針を機械的に決めるのではなく、これまでの流産の経過、特に「どのように始まり、どのように進行したか」を丁寧に振り返ることが、妊娠継続につながる重要なポイントになります。

出血先行型の流産でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。