無駄も大切、みたいな論調はよくあります。

 

筆者は何か壊れると、とりあえず分解したくなる性分です。

 

パソコンはもともと詳しいので、調子が悪い時は箱を開けて中身を点検し、基板の型番を調べてヤフオクやメルカリで同じものを買って交換するとか、ほんとワクワクします。空気清浄機のファンを直したり、掃除機のモーターをいじったり、スーツケースのキャスターを削り落として交換したり、ドライヤーを分解清掃したり、だいたい何でも一度はバラします。

 

時間がかかって大変だったのはスーツケース、緊張したのはドライヤーです。燃えたらどうしようと思って消火器を準備してスイッチを入れて、無事に動いた時のあの感じ。あれはなかなか良いものです。

 

 

祖父が寄せ木細工の職人、父が化学工場の現場。小さい頃から工具箱と一緒に育ったので、分解という行為そのものに、妙な快感があるんだと思います。

 

 

 

で、今回はビールを10本くらい冷やせる小型冷蔵庫。1年も経たずに不調になりました。

 

普通の冷蔵庫はコンプレッサー式ですが、小型の安物はペルチェ方式。ペルチェ素子で温度差を作り、それをファンで逃がすシンプルな構造です。

 

分解してみると、ファンの回転が明らかに遅い。ヒートシンクは触れないレベルで熱い。結果、基板がエラーを起こして電源が入ったり切れたりしている。そりゃ冷えません。

 

「ファン交換で終わりでしょ」といつものように軽く考えていたのですが、、

 

家にあったPCファンは刺さらない。Amazonでいくつか買ってみても微妙に合わない。刺さっても回らない。4pinでも規格が違う。変換ケーブルも試したけどダメ。ここで完全に手が止まりました。

 

調べてみると、ファンにはサイズ、電圧、ピン配列など地味に違いが多く、見た目が似ていても互換性がないことが普通にあるらしい。知らんがな、、

 

まあ最初から調べろよという話ですが、実物を触ってあーでもないこーでもないとやった経験は座学以上に実感をもって身につくし、こうした経験の20個に1個くらいは何かの役に立つ。

 

結果いらないファンとケーブルと、結局直らなかった壊れた冷蔵庫だけが増えましたが、1週間くらい毎晩楽しめたので教材費と遊興費と思えば元は取れたかな。

 

 

いわゆる「詳しい人」って、効率のいい学びからは生まれない。多分その人は無駄の集大成です。パソコン詳しい人は、たいてい何の役に立つのか分からないガラクタ箱持ってます。

 

困った時に、「これ前にやったな」という感覚が出てくるかどうか。あれは無駄の蓄積がないと出てこない。

 

効率的に学ぶこと自体は大事です。一見賢そうで、実は学んだ以外のことが何も残らない。知識に余白が生まれない。失敗や試行錯誤から学べることはとても多いと思うんですよね。

 

 

今は医師も体系的に学べる環境がありますし、それはそれで良いことだと思います。でも、筆者の時代は丁稚奉公みたいに「見て盗め」と言われながら半分放置された自宅。手探りでやってきたあの感覚でしか身につかない「勘」は確実にある。

 

医療を失敗から学ぶのはだめだけど、座学に加えて日常の経験からの学びは思った以上に大きい。一見たいしたことなさそうな経験が次に効くことはわりとある。

 

 

今回の冷蔵庫は結局直りきらず、部品だけが増えました。

 

無駄も大切、なんて無難にまとめるつもりもないですが、無駄を排除した人生からは、面白いものは生まれない気がする。

 

いい歳して何やってるんだろう、と自虐的に奮闘した1週間でしたが、いい歳してまだこれだけ遊び心が残っている自分も捨てたもんじゃないな。頑張った自分に拍手を送りたい。(おお、なんか上手にまとまった!)