『SWITCH SPECIAL ISSUE 白鵬翔』取材期間約300日にわたる渾身のドキュメント

貴景勝 休場

貴景勝が、昨日の相撲で足首を痛めたということで今日から休場。初日の突進には目を瞠ったが、竜頭蛇尾になってしまった。

(以下、写真はすべてNHKテレビの画面を撮影したものです)

それにしても怪我が多い。ちょっと酷な言い方だが、先が見えてきたという気がする。今後も好調の時はあるだろうにしても、今以上に上を目指すというのは、ちょっと厳しいのでは。今から相撲の一大改革をやって、四つ身を体得するか・・・?

 

照ノ富士 今場所は攻略できるか

照ノ富士、余裕を持って相手に取らせているのか、手こずっているのか判断に苦しむところだった。昨日は圧勝だったが、四つで取る相手(霧馬山)だけに、まだ調子はわからないと思っていたが、案の定というか、今日も宇良に、あわやというところまで追い込まれた。

最後、左のひと突きで豪快に突き飛ばしたのは、さすがの強さと言うべきだし、向こう正面に寄られた時も「落ち着いていた」とは振り返っているが、四勝中、三番がこういう勝ち方だと、やはり先場所ほどの好調と見るわけにはいかない。照ノ富士の連勝を止めるのは、突き押し相撲か、今日の宇良のような引っ掻き回す力士ということになるだろうか。

 

『奈落の底から見上げた明日』照ノ富士春雄(著)

阿炎 いよいよ本物か

となれば、阿炎が先場所の敗戦から、どう攻略法を練ってくるかというところ。その阿炎、ネット上では優勝の一番手に上げる気の早い声も起きている。その進境著しい阿炎、今日も千代の国を圧倒。

最後のところ、千代の国に手繰られたのは、ヒヤッとしたというほどではないが、向正面解説、師匠の錣山親方によると「最後、右で勝負を決めに来るのが相手も分かっているから右手を引っ張られる」のだという。「上の顎の方ばかりを突くのではなく、最後はお腹を突けば相手は簡単に土俵を割る」と。そこに隙があるのではあるが、師匠がわかっていることなら改善してくるだろう。

INIC coffee

御嶽海も一味違う

好調の御嶽海。星が上がっているというだけではなく、大相撲中継の花道リポートで伝えられる慎重な発言や、引き締めた様子から心境の面でも以前とは違うものを感じる。成長しているのは阿炎だけではないということか。

今日は物言い取り直しの一番で明生を破る。

 

投げの芸術二番

今日の土俵から、芸術品とも言うべき投げを二番。一つは志摩ノ海が佐田の海を上手出し投げに破った相撲。

志摩ノ海

これも錣山親方の解説を参考にしながら手順を述べると、下手を放して、その手で佐田の海の上手を切りながら体を開いて、投げる時も「出し投げは土俵に向けて(下に)打て」の格言通り。体の開きも投げの角度も申し分ない。

 

遠藤

もう一番は巧者遠藤。関脇隆の勝との対戦。

隆の勝が小手に振るのに対し、膝を寄せながら、右手で相手の膝を叩き、下手投げ。

実況の厚井アナ「右で仕事をし、左でも別の仕事をし、しかも相手に合わせながら、しっかりと反応していく」。正面解説の境川親方(元両国)も「この人は相撲をよく知っている人だなと思いますね」

 

遠藤のこういう相撲を見るたびに、7年前のあの膝の大怪我がなければ今頃は・・・と思わずにはいられない。でも、もう多大な期待はかけられなくても、ひと場所に何番か、こういうキラリと光る相撲を見せてくれればそれでいい、と思う。