◆十両の取組から
(写真は全てNHKテレビの画面を撮影したもの)
王鵬-荒篤山。三敗同士の対戦。
荒篤山、左おっつけから左右ののど輪で突き立て、右に体を開いていなして王鵬を崩すと、後ろについて送り出し。王鵬は九連勝の後、急に調子を落として四連敗。解説の高崎親方(元金開山)「どこか悪いんですかねえ?」
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二敗の一山本。相手は炎鵬。
入り込まないと相撲にならない炎鵬が、低く潜ろう潜ろうとするのを、一山本は突き立てて許さず、向正面辺で、炎鵬がなおも潜り込もうとして、つんのめったところを突き落とし。
一山本は、よく見て炎鵬を常に正面に置き、リーチ差を活かし、腕を伸ばし徹底して距離を取ったので、炎鵬はどうにもならなかった。一山本は二敗を堅持。
◆幕内の取組から
豊昇龍-若隆景
若隆景は豊昇龍に対し立ち合い低く踏み込んで、右の絞りからおっつけ、左も差して一気に正面に寄り切った。
先場所、豊昇龍に一本背負いと掛け投げの合わせ技で派手に負け、いい格好をさせてしまった若隆景だが、今場所は一矢報いた。
阿炎-貴景勝
一敗同士、注目の対戦。阿炎は双手から、右をのど輪にあてがいつつ、左の突きも交えて前に出る。貴景勝がのど輪を払って右にいなすが向き直り、二度、三度いなして回り込むのを、しっかりと追撃して、赤房下に押し出した。大関を圧倒。
明日は横綱戦。ラジオ解説の北の富士さん「阿炎は、横綱でも大関でも、どんと来いという気持ちでしょう」
そういう気持ちで臨んだら照ノ富士にとっても怖い。逆に優勝を意識してしまうようだと照ノ富士の敵ではないだろう。
照ノ富士-御嶽海
立ち合い、当たった瞬間、照ノ富士は左で前廻しを取り、続けて右も取る。御嶽海は双差しになったが、照ノ富士は外四つのまま、両上手を引き付けて一気に出て寄り切った。ラジオ実況・戸部アナ「差すことなど考えていないような相撲」。
◆取組はこれでいいのか
ところで、先にも言ったとおり阿炎は明日、横綱照ノ富士と当たる。そのため通常なら十四日目に対戦があるであろう、照ノ富士-正代戦がなくなることとなった(千秋楽が「照ノ富士-貴景勝」になるのは、まず確実)。
正代
下位力士が好成績で優勝に絡んでいたりすると、上位との対戦が組まれ、その結果、慣例的に組まれる横綱-大関戦や大関同士の一番がなくなることがある。いわゆる「割り崩し」(「割り」とは「取組」のこと)で、以前は極めて例外的に行われていたのが、最近は常態化している。
横綱-大関戦、または大関同士の相撲がなくなってしまうことが増えていることに対する疑問の声も高い。今場所は、ここに来て正代が調子を上げている(遅い)だけに、なおのこと残念がるファンもいる。
調子のいい下位力士を、もっと早めに中盤あたりで上位と当てられなかったのかという声もあるが、逆に、中日か九日目に横綱-大関戦を組むという手もある。
実際、以前は場所中に日曜、休日が重なった日は、一種のファンサービスで序盤でも横綱対大関の相撲が見られることもあった。古い例だが、1982年秋場所では四日目に横綱若乃花-大関琴風が、さらに古い例では1972年初場所は、なんと初日に横綱北の富士と大関琴桜が対戦している。そうしたことも、もう一度考えられていい。「取組編成が無計画」との批判に向き合うべきだ。
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