村上春樹さんの小説、「アフター・ダーク」に出てくるホテル、アルファヴィルについてです。
アルファヴィルという名前はマリとカオルが話しているように、ゴダールのSF映画「アルファヴィル」から取られています。
ここからちょっと映画「アルファヴィル」のネタバレになりますので、まだ観ていない方はご注意ください。
映画「アルファヴィル」では、銀河系の都市であるアルファヴィルにレミーという諜報部員が地球から新聞記者を装って潜入して、ブラウン教授という重要人物を奪還しようとします。
で、このアルファヴィルっていう都市がちょっと変なところなんですね。
たとえば会う人がみんな「元気です、ありがとう、どういたしまして」って挨拶をしてくる。
ブラウン教授には美しい娘ナターシャがいて、レミーがさっそく口説こうとすると、「口説くって何?」と言われたり、言葉の意味を知らなかったり、まるで話が通じない。
そして、奥さんが死んだときに泣いた男の人は公開処刑されたりする。
どうやら沈黙、論理、安全、慎重を基本理念として掲げるこの都市は、α60という発光する人工知能みたいなものが管理していて、それを作り上げたのがどうやらブラウン教授だということがわかります。
そこでレミーはα60を破壊して、ナターシャと一緒にアルファヴィルを脱出する。
そして、ナターシャは徐々に失われた言葉を思い出していくーという話です。
あらすじ長くなりました。
で、この映画の内容がどう「アフター・ダーク」と関係しているのかというと、ざっくり言ってしまえば「失われた感情を取り戻す」というところではないでしょうか。
現代の日本社会はデニーズやすかいらーくに表されているように、マニュアル化、システム化した、アルファヴィルのような世界です。
そこで、人々は大切な感情を忘れていく。
エリも白川も、マリも例外ではありません。
しかし、朝が来て、エリは目を覚ます希望が生まれます。
それはまるで「アルファヴィル」のラストと同じものだと私は思いました。
※ホテル「アルファヴィル」については、またちょっと特別な場所として描かれているので、このことは後日書きます。