視線の先に揺れる金色の糸。
それがあまりにも綺麗だったものだから、ボクは知らずの内に手を伸ばしていた。
それに指先が触れた瞬間、その髪はまるで緩やかな風を撫ぜるようで
触れていることすら躊躇ってしまいそうな繊細さに、ボクは息を詰まらせた。
ルーミアはボクが髪を触れていることを知ると、目を瞑り全てを委ねたように
体を倒しボクにもたれかかる様にして、されるがままになっていた。

ルーミア「りんか、私の髪の毛どう?」
カリンカ「すっごくさらさらしてる、綺麗だよ」
ルーミア「えへへ、ありがと」

単純に嬉しそうに、だけどどこか照れくさそうにルーミアは笑う。
それをみてボクは気付いたのだ。この心地は決して髪だけのものではないと。
この髪がさらりと柔らかくあるのはルーミアの笑顔とともにあるからだと。
そして再びルーミアの髪を撫でる。そしてルーミアの笑顔。
その感触を言葉とするならば、
涼やかに包み込むような、まるで我が子を抱く母にも似た、闇そのものだった。