紅々と流れ出すソレは一向に止まる気配を見せない。
床は染まり、それでも尚流れ続ける。
朱は濃く、辺りは暗く、鼓動は速く。
そこには、2人の少女が居た。
朱に染まった少女と、紅に染まった少女と。
光の差さない暗闇の中で、1人分の呼吸が響いていた。
虚空を見詰める瞳に既に光は無く、白い首には朱い線が走り。
赤は少女を中心として広がっている。紛れも無く、ソレは少女の血であった。
音も無く空間を浸蝕する赤の海の中には、少女が居た。
息の無い少女とは別の少女。座り込むその少女には息があった。
赤に染まった少女の手には、ナイフが握られていて。
どこまでも暗いその場所で、少女は殺されてしまった。
どこまでも暗いその場所で、少女は殺してしまった。
暗い部屋で、少女の嗚咽が聞こえる。
粘つく鉄の匂いの中で、座り込んでいた少女はいつしかうずくまっていた。
死が隣に在る恐怖に耐え切れなかったのか。
いつも隣にいた彼女を殺してしまった悲しさか。
彼女は暖かかった。私は冷たかった。
私が前に進むために、貴女は自らを犠牲にした。
これでもう。進むしかなくなった。
わたしの世界はどこまでも瞑く、どこまでも冷たく、どこまでも孤独で。
彼女の体が冷たくなってゆく。私の体は冷たさを感じてゆく。
貴女は既に死んでいて、私はまだ生きている。
「――ありがとう」
私のために、貴女は。
ポロポロと涙が零れる。
貴女は、辛かったよね。
貴女は、苦しかったよね。
あたたかい涙が、つめたい体へと落ちていく。
あたたかいわけは、あなたのやさしさで、
つめたいわけは、わたしのおろかさで、
流れる赤は扉の外へと続いている。
あなたがくれた、わたしのみち。
私は赤を踏みしめる。扉の向こうには、緋に染まった空がある。
あなたはわたし。そう思っていた。
でも違った。貴女は貴女。私は私。
私は、貴女みたいに優しくはなかった。
だからせめて、笑っていよう。
貴女が笑っていられるように。
ポロポロと涙が零れる。
涙は照らされ、緋に輝いて。
緋々と流れ出すソレは一向に止まる気配を見せない。
心は染まり、それでも尚流れ続ける。
歩き出す。紅に染まって、朱を知って、赤が導く、緋の中へ。
――――いつか、私も。貴女のように優しくなれるのかな。
床は染まり、それでも尚流れ続ける。
朱は濃く、辺りは暗く、鼓動は速く。
そこには、2人の少女が居た。
朱に染まった少女と、紅に染まった少女と。
光の差さない暗闇の中で、1人分の呼吸が響いていた。
虚空を見詰める瞳に既に光は無く、白い首には朱い線が走り。
赤は少女を中心として広がっている。紛れも無く、ソレは少女の血であった。
音も無く空間を浸蝕する赤の海の中には、少女が居た。
息の無い少女とは別の少女。座り込むその少女には息があった。
赤に染まった少女の手には、ナイフが握られていて。
どこまでも暗いその場所で、少女は殺されてしまった。
どこまでも暗いその場所で、少女は殺してしまった。
暗い部屋で、少女の嗚咽が聞こえる。
粘つく鉄の匂いの中で、座り込んでいた少女はいつしかうずくまっていた。
死が隣に在る恐怖に耐え切れなかったのか。
いつも隣にいた彼女を殺してしまった悲しさか。
彼女は暖かかった。私は冷たかった。
私が前に進むために、貴女は自らを犠牲にした。
これでもう。進むしかなくなった。
わたしの世界はどこまでも瞑く、どこまでも冷たく、どこまでも孤独で。
彼女の体が冷たくなってゆく。私の体は冷たさを感じてゆく。
貴女は既に死んでいて、私はまだ生きている。
「――ありがとう」
私のために、貴女は。
ポロポロと涙が零れる。
貴女は、辛かったよね。
貴女は、苦しかったよね。
あたたかい涙が、つめたい体へと落ちていく。
あたたかいわけは、あなたのやさしさで、
つめたいわけは、わたしのおろかさで、
流れる赤は扉の外へと続いている。
あなたがくれた、わたしのみち。
私は赤を踏みしめる。扉の向こうには、緋に染まった空がある。
あなたはわたし。そう思っていた。
でも違った。貴女は貴女。私は私。
私は、貴女みたいに優しくはなかった。
だからせめて、笑っていよう。
貴女が笑っていられるように。
ポロポロと涙が零れる。
涙は照らされ、緋に輝いて。
緋々と流れ出すソレは一向に止まる気配を見せない。
心は染まり、それでも尚流れ続ける。
歩き出す。紅に染まって、朱を知って、赤が導く、緋の中へ。
――――いつか、私も。貴女のように優しくなれるのかな。