彼は話し相手が欲しいと思っていました。
或る日、そんな彼に一人の少女は言いました。
あなたが好きです、と。
話し相手が出来るならと、彼は少女と付き合うことになりました。
少女は彼を愛し、彼はそれに答えようと。そう、思ったのです。

ですが、少女の些細な行動の幾つかが、彼にとって面白くないものでした。
ほんの些細な、誰でもするようなことが。彼は気に喰わないのでした。
やがて、彼は1つのことに気付いたのです。

この少女は、本当に自分のことを好きなのだろうか?

本当に自分のことを愛しているのなら、少女は自分にとって、全てが思い通りになる存在であるのが正しい筈であると。

ですが、少女の行動は彼を苛立たせるだけです。
なら、少女は自分のことを愛してなどいないのか。
そう考え、それなら全て合点が行くと結論を出しました。

或る日、そんな彼は一人の少女に言いました。
君は本当にボクのことが好きなのか、と。
少女は答えました。あなたの事が好きです、と。
ですが彼はその言葉を信じることが出来ません。

今も、少女は彼の思うようには動いてはいないからです。

少女は自分の思い通りにならないのに、何故ボクを好きと言えるのか?
彼は少女の存在に腹立たしさを感じ、少女に言いました。

もうそろそろ、別れよう。

嫌だ、と。少女は言いました。

彼が何を言っても、少女は決して別れることを認めません。
そして、彼は何を言っても無駄だと思い、別れることを諦めました。
ですが、彼が少女のことを嫌いなことに変わりはなく、形だけの恋人でしたが。

或る日、少女は彼が好きなものを否定してしまったのです。
それがとても悲しく、彼はもう一度別れたいと告げました。
少女は決して首を縦に振りません。
彼は言いました。今まで君のわがままを聞いてきたんだ。ボクのわがままもきいてくれ、と。
その言葉を聞いて、少女は頷くしかありませんでした。

彼は少女に言いました。
最初から、君の事が好きではなかった、と。ただ、話し相手が欲しかったのだ、と。

彼は、最後に。少女についていた嘘の真実を明かしたのです。

さて、これを読んだ人。この話においてどっちが悪いと思います?