カーテンの隙間から除く三日月を虚ろに眺めながら、シャミーは頭に微かな痛みが走るのを感じていた。
どうやらこの痛みはただの頭痛ではないと、シャミーは気付いていた。
そう、何者かの仕業であるのだ。
そして多分、犯人は――サンダーの母親、エリーゼ・リシェル。
確信はない。
でも、頭痛が起こったのは、エリーゼのマジックが始まってからのことだったのだ。
それに、犯人がエリーゼだとすればほぼ全ての辻褄が合う。
あれからシャミーは、エリーゼについてWEB検索した。
それによるとエリーゼ・リシェルは昔、そこそこ名の知れた有名なマジシャンだったらしい。テレビにも出演し、その人気は上がり続ける一方だと思われた。
しかし、その人気は五年前、急激に没落したのである。
五年前。
五年前というと、「天才エスパー少女」として、当時五歳の自分が大袈裟に騒がれるようになった頃。
「マジックよりもエスパー」そんな時代が、自分のせいで訪れてしまったのだ。
きっとエリーゼは、そのことで自分を妬んでいたのだと、シャミーは思う。
そうすれば息子のサンダーが自分を憎んでいるのにも、辻褄が合うではないか。
サンダーは、母親を没落させた自分を、母親と同じように憎んでいるのだ。
だから、嫌がらせを繰り返し、その結果Dクラスへの降格という報いを受けた。
そしてエリーゼは、またしても自分を憎んだ――
シャミーは一通り推理し終えると、溜め息をついて目を閉じた。
――ああ。これが全部、私の勝手な被害妄想だったらいいのに。
でも多分、悲しくも、これは現実なのだ。被害妄想などというものではない。
……そうすると、「では、どうしてあんな声が聞こえたか?」「頭痛が起こるのは何故?」という疑問が当然持ち上がるはずである。
幸か不幸か、シャミーは生憎この答えを持ち合わせていた。
――「死のマリオネット」。
――多分エリーゼは、「死のマリオネット」なる呪いの人形を、所持しているのだ。