乾いた季節に、それでも潤いを足していくもの | BLACK-SKY

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ひとりごととか、小説だとか。

取るに足らない言葉たちの遊戯会。




落ち葉のくすんだ匂いが鼻腔に届くとき、とんぼが忙しなく耳元を駆け抜けていくとき。



長い夏と冬とを繋ぐ、秋という乾いた季節が訪れたのだと感じる。















――へぇ、絵、上手いんだ。

去年の秋、隣のクラスだった君と、初めて交わした言葉。


そんなことを思い返しているとスケッチブックに、はらりと紅色に染まった木の葉が舞い落ちた。

モノクロで描きかけた君の横顔に、眩い彩りが添えられる。











秋が物悲しく乾いているのは、夏という輝く季節が、潤いを掠めて走り去っていくから。



夕暮れや紅葉。美しいものが多いのは、そんな枯れ葉色の季節に少しでも潤いを足すため。



くすんだ世界を輝かせるために、葉は全身全霊で美しい紅に染まる。






モノクロの君が、紅葉の健気さに微笑みを零しているように見えるのは、僕の見間違いではないと思う。