「シャミー・アイ~死のマリオネット~-26- | BLACK-SKY

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ひとりごととか、小説だとか。

取るに足らない言葉たちの遊戯会。



女は、例によってカーテンを閉め切った薄暗い部屋の中央に座り込んでいた。

女は口の端に薄ら笑いを浮かべ、両手に薄汚れた藁人形を握り締めている。


――それにしても待ちきれない。今すぐ殺してはいけないだろうか?




女は自らに問いかける。が、無論答えはノーだ。


分かっている。分かってはいるのだ。

今すぐ「あいつ」を殺してはいけないことを。

そうすれば、自らの命さえも危ないということを。




「……でも、抑えきれないものだってあるさ。例えばほら、殺意とかさ」


誰一人とていない闇の中。

女は自らに語りかけるように呟くと、藁人形を握り締める手に一層力をこめ、口の端が張り裂けそうになる程の狂気染みた笑いを浮かべた。




――そう、抑えきれないものだってあるさ。


   だから……許されるだろう?




女はそう呟くと、異常なまでの笑みを浮かべた口許へ藁人形を近づけていく。





そして、藁人形の耳に当たる部分に向かって、蛇の鳴き声かと思われるような声で囁きかける――。






「来るんだ、シャミー・ブルータス……我が下へ」













                    ***













シャミーは耳を疑った。

聞こえるはずのない声が、またしても聞こえてしまったからである。



地獄の底から響いてくるような恐ろしい声が。

地の果てから届いてきたような狂気染みた声が。



それも、あの恐ろしい声は、自分の名を呼んでいた――。
















「ただいま」重厚な木の扉を開いて、シャミーは絞りとるように何とかそう言った。

「お帰りなさい。おやつはテーブルの上ね」母の溌剌とした声。

「……いらない」

掠れた声を発すると、シャミーは階段を駆け上がり、自分の部屋に向かった。無論、一人になりたかったからに他ならない。








床にどさりと鞄を放り出し、シャミーは悶々としたままベッドに浅く腰掛けた。



目を閉じ、渦巻く闇の中に敢えて身を置く。

そうして深呼吸をすると、頭の中で霧の如く漂っていた漠然な考えは、徐々に形あるものへ変わり、気分も落ち着いていくのを感じられた。







再度目を開けた時、シャミーは自分でも驚くほど落ち着き払っていた。









決意は固まった。



勇気も湧いてきた。



そして何より、それを実行するだけの力が自分にはある――。





自分には、地球に匹敵するほどの力が秘められている。

シャミーは幼い頃から言い聞かせられてきた神話を、今度こそ信じることに決めた。



そう、自分を信じなければ、マリオネットを無事に持ち去ることなどできはしないのだ。







私はやらなければならない――。







静かなる決意を胸に秘め、シャミーは輝きを放つ水晶玉を手に取った。