「シャミー・アイ~死のマリオネット~」-24- | BLACK-SKY

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ひとりごととか、小説だとか。

取るに足らない言葉たちの遊戯会。



女は薄汚れた藁人形を尋常ではない強さで握り締めながら、顔に勝ち誇ったような笑みを貼り付け、憎き少女に対する呪いの言葉を、不吉な言葉を、思いつく限り並べ立てた。


――殺してやりたい。


女の頭には、そのことしかなかった。

憎きあいつ、自分を貶めたあいつを、「あの方法」で、今すぐに殺してやりたい。


だが、まだその段階ではないことを、女は知っていた。

殺すのは、一番あとのこと。今はまだ実験段階に過ぎないのだ。


まず、手始めに――眩暈や頭痛といったところから始めようではないか。

気絶でもしてくれると、なおいいだろう。





だが、それにしても――待ちきれない。








                    ***








後頭部に、ちくちくとした痛みを感じ、シャミーは閉じていた瞼をゆっくりと開いた。

目の前に広がる薄汚れた白。保健室の天井だ。


またあの校医に厄介にならないといけないかと思うと虫唾が走る。シャミーは何事もなかったように再度瞼を閉じ、寝たふりを決め込むことにした。



瞼を閉じると、闇が広がった。いつもなら、深い落とし穴に落ちてゆくような独特の恐怖感が広がり始めるところだが、今日はそんなことも気にならなかった。


暗闇よりも、人の心の奥底に広がる闇の方が、ずっと暗くて深い。

そのことをシャミー自身、よく知っていた。


例えば、サンダー・リシェルが犯した過ち。

例えば、エリーゼ・リシェルが今、私に行おうとしていること――





でも、とシャミーは思う。


でも、黙って殺されるのを待っている訳にはもちろんいかない。


向こうが殺人を実行に移す前に、こちらはこちらで、何かしらの手を打っておく必要があるのだ。






……しかし、私に何ができるだろう?








                    ***








相変わらずこの少女を見ると、殺意が芽生える。


さすがに「殺してやる」と叫んだのは、我ながら軽率だったとは思っている。



だが――理屈だけでは割り切れない気持ちというものがあるではないか?




某食品会社のCMで、憎き少女が、「天才エスパー少女」シャミー・ブルータスが、ニコニコ馬鹿みたいな笑みを皆にふりまいている。



あいつの笑顔を見る度、私の心は乱される。


何度、殺してやりたいと思ったことだろう。



やがてCMが終わったかと思うと、今度は別バージョンの同じ会社のCMが、流れ出した。




女は叫びだしたいのを堪え、平常心を保つよう自らに厳しく言い聞かせると、側に置かれていたリモコンを取り上げ、テレビを消した。