光のアーチをくぐって部屋に戻ると、ヒッグスは薄明かりの中に立つリサを見つけぎょっとした。
リサは枕をしっかりと抱きしめて立っていた。鼻を啜るずずっという音がした。
「リサ!どうしてここに?」
「怖い夢、見たの。パパもママもぐっすり寝てて、それで・・・・・・それでお兄ちゃんの部屋に来たの。
ねえお兄ちゃん、どこに行ってたの?この石、何で光ってるの?」
ヒッグスは、本当のことを言うことにした。
ヒッグスは出来るだけ分かりやすく、リサに妖精界と人魚界のこと、メフェルの涙のこと、予言のこと、ゴッドウォーターを飲んだことなどを話して聞かせた。
話し終わる頃には、リサは目を輝かせ、話の虜になっていた。
「お兄ちゃん、すごいっ!お兄ちゃんが雷を・・・・・・えっと、消せるの?わあ、いいなあ・・・・・・ねえ、その緑のお水ってすごいね。リサもまほう、欲しいなぁ・・・・・・」リサはうっとりと夢見るように手を組み合わせ、目をキラキラさせていた。
「そんなにおいしい物でもないよ。それに、リサには妖力があるのかな?この真珠が石ころに見えるんでしょ?」
「あるもん!絶対リサにもあるもん!ねえ、お願い・・・・・・明日リサも連れてって!リサもお水飲みに行くー!」
「うーん・・・・・・多分いいとは思うけど」
次の日ヒッグスはリサを連れ、渋々人魚界を訪れた。ルーシアの世話係のシェリーが、リサにゴッド・ウォーターを差し出してくれた。
リサは昨日あんなに張り切っていたにも関わらず、やはりゴッド・ウォーターを目のあたりにして少し尻込みしたようだ。それでもリサは自分から言い出した手前、恐る恐る瓶を口にした。リサは飲み込んだ瞬間に今にも吐きそうな表情を浮かべたが、二分もかけてようやく全て飲み干した。
「まずーい!」
シェリーもヒッグスも笑った。
「リサ、ヒッグスのことを考えて、”テームス”って言ってみて。」シェリーが言った。
「テームス!」
リサはどこかに消えてしまった。ヒッグスは心配して辺りをきょろきょろ見回した。
すると十秒後、ぽかんとした表情のリサが、ヒッグスの肩の上にちょこんとのっかっていた。
「あれぇ?」
「うーん・・・・・・妖力が弱いようね。でも、ワープが出来るんなら立派なもんね」
シェリーは屈んで、ヒッグスの肩から下りたばかりのリサのブロンドを撫でた。リサはとても嬉しそうに照れ笑いしていた。
今日は結局それだけで人間界へ帰ったが、リサがすぐにどこかへ消えてしまうので、ヒッグスはリサにゴッドウォーターのことを教えなければ良かったと後悔した。