震える指でボタンを押す。犬猫殺処分の現実『小さな命を救う人々』 | ジーコのブログ

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エキサイトレビュー 2016年9月1日 10時00分

ライター情報:山川悠


犬猫殺処分

殺処分の方法は炭酸ガスによる窒息死。ガス室に入れられた犬猫たちは息苦しさを感じながら死んでいく。
保健所──引き取り手のいない犬や、飼い主の表れなかった迷い犬が殺処分される場所。
渡辺眞子『小さな命を救う人々』(8/25〜電子書籍配信) には、保健所に携わる人間の苦しみが描かれている。
(里親の募集をしているところも数多くある)。

保健所に務める職員が実情を語る。

「本当に悔しい。私だって、毎日こんなことをしたくないんだ。震える指で、ボタンを押しているんですよ!」

なぜ、炭酸ガスを使うのか、一頭ずつに注射による安楽死処分を施すことはできないのか? 動物愛護団体は抗議をする。

「「一頭ずつだなんて、冗談じゃない! 元気な若い犬を捕まえて、嫌がって暴れるのを無理矢理押さえつけて、怖がって震えて啼き叫ぶのを注射を打って殺すなんて、こっちの神経が保ちませんよっ!」
東京都内5か所にある「東京都動物愛護相談センター」で動物を捨てる理由を調査した結果。

1位 転居
2位 動物の病気
3位 問題行動

リードをつけて散歩の延長のようにして犬を保健所に連れてくる飼い主が多いそうだ。
動物を捨ててしまおう、と考えてしまえる人は、死ぬということがどういうことか分かっていない。犬猫を保健所に連れていくのは、家族を殺すのと同じこと。置いてけぼりにされた動物たちは、怯えながらワケも分からずに死んでいくのだ。

この本のデータ(書籍化は2004年)では、一日に1200頭もの犬猫が殺処分されていたという。2013年度には一日400頭と減少傾向にあるものの、そこに殺処分される動物たちがいる以上は、ボタンを押す苦しみは続く。

犬を初めて飼う人は、いいことしか考えていないのかもしれない。だけど、緊張しているときには、下痢をすることもあるし、夜啼きをすることもある。糞便は臭い、家具に噛み跡をつける、衣服や書類をビリビリに破く、散歩は毎日。高齢になったら介護。本当に手間がかかる。
吠える理由が分からなかったり、こちらの意図することを分かってくれなかったり、言葉の通じないもどかしさだってある。だけど……。

5年前、僕たち家族は12年間飼っていた犬・ノエルを亡くしてしまった。僕、父、母の顔をじっと見てから静かに息を引き取った。仕事で最期に立ち会えなかった兄は、申し訳なさそうに遺影を見つめて両手を合わせていた。
僕はそれから毎日、遺影のあるリビングで寝た。

朝になると、母が手を合わせてすすり泣いている声が聞こえてくる。とても苦しい日々だった。
情けない話と思われるかもしれないが、亡くなってから9日後、僕たちはノエルと色違いの犬を飼った。フランス語で海という単語にちなんでメルと名付けた。
ノエルが死んでしまったことは今でも忘れられない、とても悲しい出来事だ。でも、そこから生まれた出会いがあった。

この本で紹介されるのは、動物たちを「救う術」を実行している人ばかりだ。彼らは「人間も動物も同じ命」という信念をもっている。
人間の平均寿命は80年少々。犬の平均寿命は10年から13年。猫は15年。人も動物も、あらゆる命が平等ならば、犬猫たちの過ごす1分1秒は人間のそれより5倍から8倍は貴重なのだ。

僕の家には現在、犬2匹、猫1匹も一緒に暮らしている。『小さな命を救う人々』を読んで、保健所の全容を知れたかどうかはわからない。でも、家族である動物の一分一秒と彼らの温かみを、これからも大切にしたい。
(山川悠)


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