例によって「PV Electronics」のHPを眺めていたら、「Nixie Clock Kit For Biquinary Tubes」と言うタイトルに気付きました。画像のニキシー管を見ると何やらいわくありげです。

(画像は同社のHPより引用)
手をこまねいていても良く判らないので注文してみる事にしました。幸い同社から「Ampelex社製ZM1032」ニキシ-管も入手できました。念のためNocrotecから「Valvo製ZM1032」も手に入れておきました。

VALVOの方は本当に古いですね。元箱に書かれた印字から察するに「1966年9月28日」製造!?
諸元を見て改めて「Biquinary」の意味が判りました。普通のニキシー管は、

と、0から9の数字の数だけカソードのリード線が引き出されています。それに対しこの「Biquinary」タイプは、

まずアノード(プレート)を2つに分けて、各々に対し奇数(odds)と偶数(even)の数字が5個ずつ割り当てられています。だから「Biquinary=2-5進(コンピューター用語?)」な訳です。
じゃぁ何でこんなややこしい事を?と言うと、

MT-9pinのソケットがそのまま使えるのです。これは勝手な推測ですが、「Biquinary」タイプのニキシー管は、その歴史の中でも初期の頃で、多数のピンを引き出す真空管製造技術が無かったのか、単にMT-9pinの製造ラインを流用したのか、そこら辺は改めて研究してみたい所でもあります。
前置きが長くなりましたが、キットの方は難なく組み上がり、

今風に下から青LEDで照らすと他のニキシー管時計と余り代わり映えしません。

強いて言えば奇数の数字が前半分、偶数の数字が後ろ半分にあるので、数字の移動が大きい様な気もします。リード線を半田付けするタイプでなく、ソケットにピンを挿すタイプなので交換は容易です。
「Biquinary」のニキシー管は前述の様にアノードも切り替える必要があるので、基板もプログラムも専用設計で他のニキシー管と互換性はありません。ともあれ「Biquinary」タイプのニキシー管時計は「PV Electornics」以外では見あたらないので極めて趣味性が高いとも言えます。