結局久々のデートもいつものスーツになってしまった。

こんな雨の日でも、春果は気合いを入れているだろう。
ちゃんと褒めてやらないと、あいつ、すぐ不貞腐れるからな。





駿 2



何とか間に合った。

結局仕事が終わらず休日出勤したが、約束の時間には意地でも終わらせた。


「しっかし、すごい雨だな…デートもこれじゃあ屋内だな。えーと、春果は…電話してみるか」


ーーーータダイマオカケニナッタデンワハ、デンパノドドカナイトコロニアルカーーー



「何だよ、あいつ電源切れたのか?それめもこの雷雨で電波がおかしくなったかー」



その時だった。





ズドオォォオン…と、低くそれでいて重い雷の音が鳴った。
と同時に、辺りの電気が消えてしまった。


停電、かーーー







「おひさしぶり、ですね。」







駿はその声に聞き覚えがあった。
甘くて、濡れたような、優しい声。



いや、でも、まさかーーー







そう思った瞬間、駿の意識は途切れていた。