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アジサイの近くへ行くと傘の持ち手の色が変わって見えた。
どうやらアジサイが好きらしい。
そんなこんなで声をかけてしまうほど愛着がわいていた。
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よく傘を使う梅雨のある日。その日は風が強くひどい嵐だった。
テレビでは近くの川が連日の雨で増水しており、流れが速く
危険なので近寄らないようにというニュースがやっていた。
映像を見ると、河童もおぼれそうなほどの流れだ。
風で傘が壊れないか心配しつつ出かけようとしたところ
そんな大雨なのに何故か傘が出ていなかった。
この傘を使って以来、こんなことは初めてだ。
どこかに傘を忘れて怒っているんじゃないかと感じたときも
雨が降る日に出てくることだけは欠かすことがなかったのに。
一瞬嫌な予感が胸をよぎるがすぐに忘れて、
自分で傘立てからあの傘を取り出した。
そして、いつも通り差してみるとなんだか変な違和感がある。
開きにくかったり勝手に閉じたりするわけではない。
見た目に変化はないのに何か持ち手の部分が妙に握りにくく、
傘自体も重く感じた。最近雨続きでずっと使っているせいだろうか。
風は少し弱まったが雨足は衰えず、ずっともやもやと嫌な気分で
交差点の信号待ちをしている時、それは起こった。
信号無視の車が通り、それをよける軽トラックがスリップして
こちらへ突っ込んできたのだ。
路面が雨で滑りやすくなっていたのだろう。
すごいブレーキ音がした時にはもう車は目の前まで迫っていた。
事故のとき周りがスローモーションになるというがあれは本当だ。
このままでは完全に巻き込まれる、そう思ったとき
傘が勝手に動き、向かってくる車との間に割って入った。
次の瞬間、気づいたら傘はぐちゃぐちゃに壊れて車の下敷きになり、
自分はその隣で横たわっていた。
周りにいた人が何か声をかけているがよくわからない。
すぐに救急車で病院に搬送され、色々と治療や検査が行われた。
傘のおかげかどうかは事故の瞬間を覚えてないのでわからないが
結果、奇跡的に軽症で済んだようだった。
たぶんもう少し続く
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