レイコク | ひより軒・恋愛茶漬け

レイコク

         te


いつも


だれとも

目をあわせないから


近づいて

あなたを

下からのぞきこんだ。


その肌は

どこも黒ずんでいないのに


殴られたばかりの

ヒトのように見えた。


かすかにゆがんで

汗をかかない。


あなたの


プロフィールに書かれた

冷酷

の文字。


もう長いこと


冷たいこぶしが

何度も

あなたを

叩いたのだとしたら


宝石のように

透けてしまうまで

硬く


結晶を結ぶ

あなたのほうが

冷酷なはずはない。


外側ではなく内側。


自分を切るために

砥いだコトバで


わたしを

いくら

遠ざけようとしても


あなたに負けないくらい

痛みには強いから


笑えるよ。


あなたが

目をそらすくらい

明るく。


どけよ。


と、突き飛ばされる。


こんなに小さなわたしでも

あなたに

つよく抱きつけば


もう

あなたは

自分を傷つけられない。


疎み

でもいい。


あなたが

顔をあげて

わたしを見るとき


わたしの

うしろにある

ひがさす

せかいに


あなたが気づく

可能性を信じて





映画「手紙」を観ました。