ゆうちゃんの全てを知りたいんだ!

たとえそれが嫌な事だったとしても俺は全て受け止める。

ヒロはそう言っていた。


なのに。

ワタ君をカッコいいといった日からヒロはゆうの目線や

行動を監視するようになった。


廊下でワタ君とすれ違った時。


ヒ:あ!今ワタの事見てた!

ゆ:偶然だよ!

ヒ:なに?カッコいい~とか思った?

ゆ:なにも思ってないよ!

ヒ:なんで見るの?見ないでよ!

ゆ:・・・・・・・。

ヒ:見たいの?

ゆ:別に見たくないよ!

ヒ:もう見ないで。。。。絶対に。

ゆ:わかった。。。。


見ないように。見ないように。

気をつければ気をつけるほどワタ君を意識してしまう。

すれ違わないようにしなきゃ。。。

そう思うと自然にワタ君がドコにいるのか探してる。

それをヒロに気づかれ、何度も怒られた。


さらにヒロの監視がひどくなる。


体育館での朝礼の時、体育の合同練習、小旅行。

ゆうは常に監視された。

ワタ君だけじゃない。他の男と話をしていないか。

目を合わせてないか。近寄ってないか。

全てヒロは見ていた。


小旅行の写真撮影の時、名前の順で並んだら

偶然にもゆうの隣が男の子だった。

偶然だからと言って許してくれるような人じゃない。

ゆうは女の子に間に入れてもらえるように頼んだ。

でも、名前の順だからダメ!と先生に言われ、

どうしても変えてもらえなかった。


ヒ:どうして隣に並ぶの?

ゆ:先生に言っても変えてもらえなかった。

ヒ:俺が嫌がるって分かったでしょ?

ゆ:うん。

ヒ:となりのヤツがすきなの?

ゆ:好きじゃないよ!

ヒ:俺いやだよ。。。


出来上がったその集合写真はヒロにグチャグチャにされ、破かれた。


そんな様子をみていた友達が心配してくれて、

『大丈夫なの?』と言ってくれた。

別れた方がいいんじゃないの?と言った子もいた。


ゆうも正直しんどかった。


でも、ヒロの過去を知ってしまったから

本当は寂しくて寂しくて仕方ない事も知っていたし、

愛される事に自信のない事も理解していたから。

そんなヒロを見捨てるわけにはいかないって思ったんだ。


普段のヒロは優しかったし、面白いし、可愛いし。

こんな嫉妬ならゆうが耐えればそれでいいと思っていた。


このときまでは。