境遇などというものは実際取るに足りないもので、
性格が一切です。
たとい外部の事物や人間と絶縁しても駄目で、
自分自身と絶縁することはできません。
境遇を変えてはみますが、結局振捨ててしまいたいと思っていた
苦悩を新しい境遇に映すだけのことです。そして、
場所を変えても自分が矯め直されるわけではありませんから、
ただ、未練に後悔を加え、苦悩に過失を加えてしまうまでのことです。