漱石はベストセラーを読み漁った。

仏教の法典、聖書、コーランもしかり。

これらは約30億人以上の愛読書だからだ。

 

夏目漱石先生の「行人」」

「ムハンマドが山を呼ぼうとした話」は
なんというか宗教小話みたいなかんじでしょうか。
曰く
「ある日ムハンマドは
『自分が山をここへ呼んででくるからいついつの日にこの場所に集まれ』
と民衆を集めた。
いざその日が来たとき、ムハンマドは山に向かって、ここへ来よ、呼びかけた。
山はことりとも動かなかった。
ムハンマドは再度山に呼びかけた。
しかし山は動かなかった。ムハンマドは三度山に呼びかけたが、ついに山が動くことは無かった。
ムハンマドは民衆に言った。
『私は山にここに来るように言った。
しかし山の方ではそのつもりがないようである。
よって私は山に向かっていこうと思う。』
そうしてムハンマドは山に向かって歩き去った」

ざっとこんな感じです。

作中では主人公の親友が学生の時に雑誌でこの挿話を見つけて、
ギャグと解釈して友達と面白がっていたのですが、
たった一人の先輩だけが、
「ああ結構な話だ。宗教の真髄はそこにある。」
とおっしゃった。

私は、このくだりがなかなか理解できなくて、
続く物語の中で親友は
自分自身の先進過ぎる理想を追い続けて
心身疲弊しきってしまった主人公を励ますために、
この話を持ち出して「君は山を呼び寄せるものだ。なぜ山に向かっていかない。」
と語る。

まあなんとなく言っていることは分かるんだけど
本当の意味で理解しないまま、その時の倍の年になりました。

それで、
最近どうもそういうことかなと思ったんだけど、

神を待つものでなく
神を求め近づこうとするものだけが
真実神を得ることができる


日常的な言葉に代えてみると
夢でも未来でも目的でも
自分から歩いていかないといつまで足っても自分のものにはならない。

あったりまえのことなんですよ。
でもあったりまえのことだと思うことを、
本当に理解できたな、と思える瞬間を、
自分は最近見出しました。
年はとるもんだなあ。

歩いていくのだ。
ほかにどうしようもないんだもん。
 

 

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