3 甘木山の概要 大牟田市の北部には、甘木山から黒崎にかけて丘陵地が形成され、緑豊かな自然が残されている。とりわけ甘木山からは、大牟田市街地および有明海が一望でき、遠くには雲仙、島原、普賢岳を望むことができる。また、有明海に沈む夕日や市内の夜景を見ることができる絶好の場所である。 この恵まれた自然を公園化しようという計画が立てられ、1940年11月から施設整備に着手し、1942年に甘木公園として開園した。この公園には、運動広場やブランコ、滑り台などがある遊戯広場および四阿(あずまや)などの休養施設があり、市内からだけでなく近隣の市町村からも休息やレクリエーションの場として利用されている。 周辺には古墳時代後期の古墳が点在し、石室をみることができる。また、園内には、アカマツや雑木の他、750本のさくらが植えられ、花見の時期には多くの人々が訪れる。
1950年には矢部川県立自然公園に指定された。多くの動植物が生息し、福岡県の自然を代表するすぐれた自然の風景地を保護する区域として位置づけられている。 (大牟田の宝もの100選:2002年2月大牟田市役所主査・主任会編より抜粋)
ゴルフ場が造成される以前の甘木山は、食虫植物のモウセンゴケ、ミミカキグサなどの生育できる湿原環境や、スダジイ、タブ、クスなどの常緑広葉樹の大木やアカマツ林が目立っていたが、開発によって大半が失われてしまった。
しかし、甘木山周辺に点在する灌漑用に造られたため池周辺域や下流域に良好な湿生植物群を形成しており、水生生物の貴重な生息域である。
水路際には、ゲンジボタル、ヘイケボタルが見られ、
水辺環境を好むハグロトンボ、モノサシトンボ、オオヤマトンボ、アジアイトトンボなどのトンボ類、クロアゲハ、モンキアゲハ、ナガサキアゲハなどの大型のアゲハチョウの仲間や暖地性のクロセセリ、ヤナギ類を食草とするコムラサキをはじめ、ヒオドシチョウ、サツマシジミなどの珍しい仲間が確認される。
車道側周辺地域は、人為的に植栽されており、イネ科植物を主体とした草地、また、背丈の低い灌木域には、ヤブキリ、クツワムシ、ツユムシ、トノサマバッタ、ヒシバッタなどの直翅目類(ちょくしもくるい)バッタの仲間が見られ、わずかに残るマツ林では、近年個体数が減少しているハルゼミが4~5月にかけて鳴いているのが聞かれ、確認されている。 (大牟田市自然環境調査報告書:平成13年6月大牟田市編集・発行より抜粋)
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