マルグリットは、ぼくの嫌がらせ対して、

侮ったりさげすんだりすることもなく、

落ちついて、気品があり、ぼくより立派にみえる態度に、

ぼくは苛立ちをおぼえてしまった。


そんなマルグリッドも、ぼくのいない時に、

オランプと口論になったそうです。

オランプは、ぼくに手紙を出してほしいと頼みました。

ぼくは了解して、マルグリッドに手紙を書きました。

内容は、ぼくの愛人に敬意をはらってほしいこと。

マルグリッドを、あらぬかぎりに手厳しく罵倒しました。


翌日でした。

Pが現われて、マルグリッドが床についてしまった。

マルグリッドは「もう勘弁してほしい」と言っている。

「ぼくの愛しているオランプを侮辱するのは許せないんだ」

「それは承知よ。でもね。自分で自分を守るすべもない、

弱いマルグリッドを、いじめてどうするの?」

「わかった。じゃ例の伯爵をぼくのところへ、よこすがいい。

それで決着をつける」

「マルグリッドがそんなことをする女じゃないって、

あなたは知っているでしょう?

もうマルグリッドに、かまわないでほしいの。

そっとしてあげてよ。

マルグリッドはいつも青い顔して、咳をして、どうせもう長いことないのよ。

会いにいってほしいの。

あなたが来るとマルグリッドは喜ぶわよ」

「ぼくは伯爵と顔をあわせたくないんだ」

「それは誤解よ。伯爵はマルグリッドの家には、いないのよ」

「マルグリッドが会いたいのなら、ぼくに会いに来ればいい」

「じゃ、本当に会っていただけるのね?」

「もちろん」

「それだったら、マルグリッドは、きっと来るわ」


原則月曜日掲載


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