高峰秀子/キネマ旬報社
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浮雲(1955)


未見だったことが恥ずかしい、

恋愛邦画の最高峰に位置する作品ですね。

最近になって恋愛映画を観だしたので、仕方ありませんが。


本作は

大好きな林芙美子の原作だし、

高峰秀子の演技と美貌

脚本は50年代に頂点を極めた水木洋子、

監督は女性描写で秀逸の成瀬巳喜男と

文句なし、脱帽です。

★ショート・しょうと・Short

いわゆる腐れ縁、人生の浮き草を浮雲とかけている感じで

モテすぎる男を好きになった悲劇かなあ、現実ですかね

男も、つきあった3人の女性に死なれているし

男女の恋愛は雲のようなものだと言っている感じですかね。


★女のハシゴ

映画の中で、

愛読書のモーパッサンの「ラ・ベラミ」を引用した

セリフが印象的です。

「ラ・ベラミーって小説読んだけど、

あんたはあの中の主人公ね。

でもあの主人公は宿無しの風来坊だから、

女を梯子段にして出世するんだけど、あんたは、女だけを梯子してる」


★エンディング

「花の命は短くて、苦しきことのみ多かりき」

林芙美子の『放浪記』で、語られる言葉がテロップして、映画は終わります。

原作では、以下の文章ですね。

「富岡は、まるで、浮雲のような、己の姿を考えていた。

それは、何時、何処かで、消える

ともなく消えていく、浮雲である」