ショートコラム 「美の時 倫の刻」
(月)期間限定テーマ=2022年春は「西城秀樹」さん
(火・木・土)連載
第三十四回 西城秀樹「ギャランドゥ」をめぐって
1980年代の秀樹さんの代表曲と言えば、「ギャランドゥ」だろう。
もちろん、この直後の「ナイトゲーム」(1983年6月)や「抱きしめてジルバ」(1984年10月)も重要である。しかし、熱心なファン以外も含めての浸透度としては、この「ギャランドゥ」が抜きんでているのではあるまいか。
本人の言葉から秀樹さんのキャリアを振り返ると、このあたりの時期にプロダクションから独立(最初は傘下として。数年後に完全独立の予定で)が計画されたはず。二曲前が「聖・少女」(1982年。当コラムで真っ先に①として取り上げた)だったことを考えると、はっきりとした世界観の違いを感じる。
それまで、情熱の恋に身を焦がして熱心に自分をくどき、どこかへ連れ去ろうとする圧倒的誘惑者像をファンたちに提供してきたヒデキが、恋の手管を自在に弄するアグレッシブな大人の女性像への傾倒を歌いあげる。
色っぽく、危険で、遊びじみてはいるが、やっぱり「激しい」恋。
時に秀樹さん、27歳。三十代を目前に、彼なりの新たなトライアルを感じる曲。
レコード化された音源では、秀樹さんが様々にボーカルに工夫を入れているのが分かる。
「ギャランドゥ」(1983年2月)
詞・曲 もんたよしのり
編曲 大谷和夫
藤谷蓮次郎
二○二二年五月九日