ショートコラム 「美の時 倫の刻」
(月)期間限定テーマ=2022年春は「西城秀樹」さん
(火・木・土)連載
第二十五回 ドラマ「男たちによろしく」をめぐって
私が田村正和さんの魅力に取り憑かれ、古谷一行さんに親近感を感じ、泉谷しげるさんというキュートな存在を見つけたドラマ「男たちによろしく」。
1987年の4月から7月まで、TBS系で放送されたこの作品については、私は当「Jビート987 (ブログとYouTubeの両者を含む)」で、その関係者四人を別々に取り上げ、すでに四回に渡って触れてきた。
ブログでは、田村正和さんの所作の美しさに触れ、また、泉谷しげるさんと森山良子さんに関しては、それぞれの曲を取り上げた(泉谷さん「眠れない夜」。森山さん「DANCE 男たちによろしく」)。これらは、当ブログに載せたエッセイ。YouTubeでは、「天皇の料理番」を取り上げて、脚本・鎌田敏夫さんの偏愛する「ダメな奴(たぶん、男も女も)ほどよくモテる」構造を指摘した。
この「男たちによろしく」は、おそらくその前に放送された「男女七人夏物語」の流れで観たのだろう(もっとも、長い間私の記憶では、先に「男たちによろしく)、その後に「男女七人夏物語」だと誤解していたのだが)。
離婚経験のある中年男三人が、たまたまマンションの上階に引っ越してきた、これまで様々な過去を持つ美しい三姉妹と出会い、関わりを深めていく。すでにそれぞれそれなりに生きて来た時間が様々な事情を含む分、若者の恋愛より煮え切らず、逆にそれが可愛らしさやユーモアを孕む。
映像は、新宿のビル街(都庁の引っ越し以来、この映像と全然違う映像になっているのではないでしょうか)から「聖蹟桜が丘」という郊外(といっても、地方から見れば大都会ですけどね)に移動して行われる大人の男女の「個人的生活」の対照性が楽しい。私の記憶によると、泉谷さんを森山さんが気にし始める場面が、新宿のカフェで、僅かなビールを泉谷さんがこぼしてしまうのを目撃したところだったと思うの。このような「弱みをさらけ出してしまうダメな奴」を擁護する視線に、鎌田脚本の魅力があるのではないか。
どこかの回で、田村さん演じるプレーボーイが古谷さん演じる真面目男とたった二人になって、「(「「女が側にいない、男だけの夜なんて」という苛立ちをこめて)春の夜だぞ、今宵は!」と叫ぶ場面があったと私は記憶している。
だから、春にこのドラマを思い出しました。
かっこよく、ユーモラスなドラマでした。
好きなドラマがあると、そこに出ていた役者さんを、なぜか昔の知り合いのようにずっと見てしまうものですね。このドラマに出ていた役者さん、みんな好きです。佐藤友美さんや池上季実子さんの美しさも、ずっと印象強く残っています。
余談ですが、森山良子さん。2022年三月~四月ころのNHK朝ドラでの活躍。お見事でした。さすが「森山良子!」と、勝手に自分が偉くなったような気分になりましたた。「涙そうそう」もいいけど、森山さんはもっと悪戯な感じのほうがいいんだと、ずっと思ってきたからです。今回、アニーさんの自己中心的な可憐さは、出色でした。それにしても演出とはいえ、あんなに走って大丈夫かな、と心配になりました。
田村正和さんのファンの方々。古畑任三郎の地元は、分倍河原でしたっけ? 聖蹟桜が丘から近くて、私は勝手に喜んでました。
「男たちによろしく」
1987年4月~7月
TBS系で放送。
脚本・鎌田敏夫
出演 田村正和、古谷一行、泉谷しげる、池上季実子、森山良子、佐藤友美 ほか
本文中に出てくる私のエッセイ、動画
田村正和さん関連
全二回の前半
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全二回の後半
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森山良子さん関連
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泉谷しげるさん関連
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鎌田敏夫さんに触れたコラム動画
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藤谷蓮次郎
二○二二年四月二十三日