溝口 徹 著 青春出版社
水分補給は「水」が最適、最良だ。今は特保(特定保健用食品)飲料もけっこう出回っているが、その効果のほどは疑わしいといわざるを得ない。
考えてみてほしい。母乳は別にして、水以外の飲料を飲んでいる生物は、この地球上に人間以外にはいないのである。誤解を怖れずにいってしまえば、体によい飲み物、体のためになる飲み物など、この世に存在しないのだ。
「野菜ジュースはどうなのだ?食物繊維をとれるし、ビタミン、ミネラルもたっぷり入っているじゃないか」
もっともらしい反論だが、食材に含まれている栄養がどのようなプロセスで、体に吸収されるかを考えていただければ、〝野菜ジュース信仰〟はいとも簡単官に送られ届けられ、そこで酵素によって消化されたのち吸収される。野菜に含まれるビタミン、ミネラルも、皆このプロセスで吸収されるのである。
野菜ジュースをグッとひと飲みしただけで、同じように栄養が吸収されるものかどうか、大いに疑問のあるところだ。
さらに、「飲みやすい味」にも疑問がわく。パッケージに表示されている野菜をそのままジュースにしたら、到底飲みやすい味にはならない。砂糖や甘味料は使われていなくても味を調整するために果物が使われているのだ。果物には大量の糖質(果糖)が含まれている。野菜ジュースを飲めば、その隠れた糖質を摂取することになるのである。
疑問はまだまだそれだけにとどまらない。原料である野菜にはたっぷり食物繊維が含まれていたとしても、それをジュースにしたとき、繊維がカスとして捨てられているはず。ジュースでどれほど繊維がとれるのか、これも首を傾げざるを得ないのである。ビタミン、ミネラルについても、野菜にふくまれているそれが、そのままジュースに移行するとは考えにくい。
また、食物繊維をとる意味は善玉菌のエサであるのと同時に、繊維によって一緒に食べて食材がゆっくり消化管を流れるようにして、消化吸収の効率を高めることにある。ジュースにはその作用があるとは思えない。
「一日に摂取すべき野菜が数秒で飲める」というのは、やはり、人間の体にとって都合のよい話なのである。